1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨と歯の形成・吸収機構の解明:大理石病マウスを用いての検討
Project/Area Number |
08672088
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐々木 崇寿 昭和大学, 歯学部, 助教授 (50129839)
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Keywords | 大理石骨病 / oc / ocマウス / 骨組織 / エナメル質 / 象牙質 / 電子顕微鏡 / 微小部x線分析 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
大理石骨病(oc/oc)は一次海綿骨の吸収不全を惹起する遺伝性の疾患で、骨を中心とする硬組織の形成・吸収機構の解析に有用な実験モデルの一つである。本研究は大理石骨病(oc/oc)マウスを実験モデルとして、骨と歯の形成と吸収の機構を、形態学的に解明することを目的とした。 本研究では大理石骨病マウスの骨と歯の基本的な組織所見を確立した。骨と歯の形成異常のタイプと程度、発現部位を検討し、次に骨と歯の形成細胞および吸収細胞の構造上の異常を調べ、大理石骨病が硬組織の形成にどのような影響をもたらすかを解明した。これらの所見を基に、骨と歯の形成と改造において、その形成細胞と吸収細胞のどの細胞内構造と機能が決定的な役割を果たしているかを解析した。 まず大理石骨病マウスの長管骨(大腿骨、上腕骨)、上・下顎骨、臼歯、切歯、腎臓、小腸、胃、中枢神経系等の光顕的組織所見を調べた。次に骨と歯については、非脱灰組織を浸透性樹脂に包埋し、反射電子検出器で研磨切片の組織・組成像を観察した。この方法で組織の石灰化度を定量的に解析し、また画像解析装置で定量形態学的に評価した。さらに骨と歯の形成面や組織内部の3次元構造を走査型電子顕微鏡で観察し、基質の形成異常がいかに生じているかを解析した。さらに透過型電子顕微鏡で、骨や歯の形成細胞と吸収細胞の微細構造学レベルでの変化を明らかにした。 その結果、申請者は大理石骨病の歯槽骨の骨基質にコラゲン量の減少と無定型基質の増加を観察し、大理石骨病の骨組織変化はこれまで報告がされているより広範囲に及ぶことが推測された。また大理石骨病マウスの歯の形成過程に、上皮・間葉相互作用の異常、象牙質の石灰化遅延、エナメル質の形成不全そして歯根膜の形成不全を見いだした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura,I.et al.: "Chemical and physical properties of the extracellular matrix are required for the actin ring formation in osteoclasts" Journal of Bone and Mineral Research. 11・12. 1873-1879 (1996)
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[Publications] Nakamura,I.et al.: "Lack of vacuolar proton ATPase association with the cytoskeleton in osteoclasts of osteosclerotic (oc/oc) mice" FEBS Letters. 401. 207-212 (1997)
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[Publications] Nakamura,I.et al.: "Phosphatidylinositol-3 Kinase is involved in ruffled border formation in osteoclasts" Journal of Cellular Physiology. 172. 230-239 (1997)