1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
橋本 貞充 東京歯科大学, 歯学部・病理口腔病理, 講師 (10201708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部・病理口腔病理, 助教授 (20125008)
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Keywords | 歯根膜 / マラッセの上皮遺残 / ヘルトヴィッヒの上皮鞘 / 付着上皮 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
歯根膜は加齢によってもほとんど変化が見られず、矯正力による歯牙の水平的あるいは垂直的な移動によっても常に一定の幅を保つことが知られている。本研究では、歯根膜の幅を規定し歯牙のアンキロ-シスを防いでいるのが、マラッセの上皮遺残である可能性を考え、マラッセ上皮遺残の細胞生物学的特徴や細胞増殖能と共に、増殖やその制御をおこなっている因子を解明し、歯根膜の線維芽細胞とのインターラクションを明らかにすることを目的としている。本年度の研究としては、ヘルトヴィッヒの上皮鞘およびマラッセ上皮遺残の細胞生物学的特徴の解明のために、歯根形成および萌出期におけるマラッセの上皮残遺の形成過程を検討することを目的として以下の研究を行なった。実験材料には、生後1〜12週のSD系ラット用い、固定、脱灰後、パラフィン包埋切片と共に、凍結切片およびマイクロスライサ-による組織薄片を作製し、Cytokeratin 19抗体、IV型コラーゲン抗体およびLaminin抗体を一次抗体として、免疫組織化学染色および免疫蛍光抗体染色を行い観察した。免疫蛍光抗体染色標本は多重染色を行ない、共焦点レーザー生物顕微鏡により三次元的に形態観察を行なった。これらの実験結果の検討から、歯牙形成過程に置けるエナメル器の上皮およびヘルトヴィッヒの上皮鞘、マラッセの上皮残遺には、CK19が強く発現しており、また、これらの上皮周囲には基底膜に相当する部位にラミニンの明瞭な局在を認めた。ラミニンの局在に関しては、歯髄側において象牙芽細胞が分化して象牙質を形成し始める時期に消失していくのが確認された。付着上皮および歯根膜細胞の細胞増殖能を、細胞増殖関連抗原であるPCNA抗体(Proliferatinng Cell Nuclear Antigen)および、細胞増殖に関連したAgNORs(核小体形成体)を検討しており、歯根膜細胞と共に付着上皮基底側および先端部での細胞増殖能が高いことが示された。さらに、矯正力による歯牙移動時の歯根膜細胞およびマラッセの上皮遺残の動態を検索するために、ラット臼歯の歯間部に矯正用ゴム片を挿入することにより歯牙を近遠心的に離開、移動させ、圧迫側および伸展側の歯根膜における細胞の動態を検討している。
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