1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672108
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Research Institution | Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 恵美子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (60111001)
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Keywords | マウス歯胚 / 器官培養 / EGF / PDFG-AB / TGF-β1 / Brdu |
Research Abstract |
本研究では、まずマウス胎生15日目歯胚の器官培養の無血清あるいは血清含有培地にEGFを添加し、その影響を組織学的および免疫組織化学的に検索した。その結果、EGF添加無血清培地では、cervical loopの増殖および咬頭形成の抑制が認められ、EGF添加血清含有培地では、cervical loopの増殖や咬頭形成が一部回復するもののそれらの形態は極めて不規則であった。さらに培養を継続するとEGF添加群ではエナメル器の外側に象牙芽細胞を含む歯乳頭が存在する異常な形態を示す歯胚がみられた。これらの歯胚の細胞増殖活性をBrdUを用いて免疫組織化学的に検索したところ、EGF無添加群では内エナメル上皮の裂溝形成部位およびcervical loop部位に増殖活性が限局していたが、EGF添加群では限局性が認められず内エナメル上皮および外エナメル上皮全体に取り込みが認められた。また、細胞外基質成分、細胞接着因子およびEGF受容体について免疫組織化学的に検索したところ、EGF添加無血清培地で培養した歯胚のように咬頭形成が抑制され平坦になっている歯乳頭には幼若な基質成分の存在が示唆された。次に、種々の成長因子(EGF,PDGF-AB,bFGF,aFGF,TGF-β1,HGF)を無血清培地に単独添加あるいは同時添加をしてその影響を検索した。その結果、単独添加においてはEGF添加群にのみ形態形成の抑制が認められ、他の成長因子では変化が認められなかった。同時添加においては、EGFとPDGF-ABあるいはTGF-β1の同時添加群でEGF添加血清含有培地群の歯胚と同様に異常な形態形成が認められが、その程度は軽度であった。本研究の結果、主としてEGFが歯胚の上皮成分のコントロールされた増殖・停止機構を混乱させ、さらに血清に含まれるPDGF-ABやTGF-β1がそれを修飾して異常な形態形成を惹起することが示唆された。
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[Publications] Sato,E.,Konishi,S.,Kubo,K.,Kato,H.,Tanaka,H.,et al: "Effect of epidermal growth factor on molar tooth morphogenesis in serum-free and serum-containing media." Dentistry in Japan. 34. 12-16 (1998)