1997 Fiscal Year Annual Research Report
高次中枢刺激による口腔領域での副交感神経性血管拡張反応
Project/Area Number |
08672117
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
刈田 啓史郎 東北大学, 歯学部, 助教授 (40004600)
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Keywords | 副交感神経 / 血管拡張 / 視床下部 / ネコ / 中脳灰白質 |
Research Abstract |
体性・自律神経反射の一つである、口腔や顔面部における体性・副交感神経性血管拡張反応の中枢と考えられる延髄の上・下唾液核への他の中枢からの作用として、心臓・血管系機能、および情動機能との関連が深い視床下部と中脳中心灰白質からの抑制機構について調べた。実験は,ウレタン・クロラロース麻酔、非動化のネコ(2〜4kg)を用いた。体性・副交感神経性血管拡張反射は舌神経を電気刺激(10〜30V)して下唇、及び口蓋の血流の変化をレーザードプラー血流計にてモニターした。脳の刺激は、一部頭蓋骨を除去し、脳定位固定装置にて,同心円型双極刺激電極を視床下部前部(AH)及び中脳中心灰白質(PAG)に挿入し電気刺激した(10〜200μA)。なお、この刺激は舌神経刺激に対する条件刺激として行い、舌神経刺激前10秒から開始し30秒間刺激し、20秒間の舌神経刺激と同時に終了するようにした。化学的刺激は視床下部にのみにて行い、ホモシステイン酸(1M,0.2μl)を脳定位的に微量注入した。視床下部前部(AH)及び中脳中心灰白質(PAG)の電気刺激により、舌神経刺激による口唇及び口蓋の血管拡張反応が抑制された。抑制は刺激強度依存性50〜500μAの間)であった。また最適の刺激周波数は50Hzであった。最も抑制効果を強く示したものは視床下部では前部の室房核およびその周辺、中脳中心灰白質ではA0.5-A2.5の部位であった。GABA受容体の拮抗薬であるピクトロキシン(1mg/kg.iV)の投与により,抑制作用が全く抑えられた。ホモシステイン酸(DLH)のAHへの局所の微量投与(1M,0.2μl)により、血管拡張反射が抑制された。体性・副交感神経性血管拡張反射についての中枢抑制機構の存在が明らかとなった。なお、これまで迷走神経以外が関与する体性・副交感神経反射についての抑制機構の存在に関する報告はなかった。
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[Publications] 刈田啓史郎: "口腔・顔面領域における副交感神経性血管拡張反射" 東北大学歯学雑誌. 16・2. 87-96 (1997)
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[Publications] Yasui,T.et al.: "Correlation between vasodilatation and seretion in the locrimal gland elicited by stimutation of the cornea and tocial nerve root of the cat" Invest.Ophthalmol. and Visual Sci.38・2. 2476-2482 (1997)
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[Publications] Izumi,H.et al.: "Blood flow inveases in common carotid artery,lower lip and palate elicited by lingual nerve stimulation in anesthetized cats" J.Automomic Nervous System. 62. 167-173 (1997)
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[Publications] Sato,M.et al.: "Comparative effects of lingual and facial herve stimulation on intracranial and extracranial vasomotor responses in anesthetized cats" Tohoku J.Exp.Med.182. 103-113 (1997)
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[Publications] Izumi,H.et al: "Effects of inhalation anesthetics on parasympathetic reflex vasodilatation in the lower lip and palate of the cat." Amer.J.Physiol.273. R168-R174 (1997)