1997 Fiscal Year Annual Research Report
味細胞の味覚情報変換における細胞内Ca^<2+>レベル調節因子
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08672131
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60136687)
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Keywords | 味細胞 / カルシウムイオン / GTPγS / ホスホリ-パーゼC / パッチクランプ / ウシガエル / イオンチャネル / 情報伝達 |
Research Abstract |
実験にはウシガエルを用いた。脊髄を破壊した動物から舌を摘出し味覚円盤を切り出した。酵素処理により単離味細胞を得た。パッチクランプ法の全細胞記録法を用いて味細胞の膜電位を-50mVに保持しながら、-100mVから+100mVの間のランプ電位変化に対して流れる膜電流を測定して電流-電圧(I-V)特性を求めた。0.5mM GTPγSを含む正常電極内液で膜を破り全細胞固定の状態にすると、16個のロッド型味細胞中6細胞は立ち上がりの速い一過性の成分と遅い成分からなる二相性の内向き電流を示した。速い内向き電流の大きさは、-50mVの保持電位で-127±26pA(n=6)であり、遅い内向き電流は-238±35pA(n=6)であった。電極内液中のCI^-濃度を104mMから10mMに減らすと、遅い内向き電流は消失したが、速い一過性の内向き電流は依然として観察された。従って、速い成分はカチオン電流であり、遅い成分はCCI^-電流であると考えられた。一方、フォーク型味細胞では19細胞中11細胞が外向き電流の増大を示した。増大した外向き電流は、外液中に10mM Ba^<2+>を加えると大いに抑制され、K^+電流であると考えられた。電極内液に0.5mM GTPγSに加えて10μM U73211(ホスホリパーゼCの阻害剤)を含ませると、ロッド型細胞の速い内向き成分の大きさは、-98±17pA(n=5)から-23±3pA(n=5)に低下した。以前の研究及び昨年度の解析により、カエル味細胞においては、自然刺激である酸味刺激、Ca^<2+>及びIP_3の細胞内灌流は同様なカチオン電流を誘発することを明らかにした。以上の結果より、カエルの味覚においても、G蛋白と共役したリセプターが関与する味覚情報変換機序が存在するものと考えられる。
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[Publications] Okada,Y.,et al.: "Inositol 1,4,5-trisphosphate activates nonselective cation conductance via intracellular Ca^<2+> increase in isolated frog taste cells." Eur.J.Neurosci.10(In Press). (1998)
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[Publications] Yoshida,Y.,et al: "High extracellular Ca^<2+> and Ca^<2+>-sensing receptor agonists activate nonselective cation conduc tance in frashly isolated rat osteoclasts." Bone. 22(In Press). (1998)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Distribution of non-tasters for phenylthio carbamide and high sensitivity to quinine hydrochloride of the non-tasters in Japanese." Chem. Senses. 22. 547-551 (1997)
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[Publications] 岡田幸雄: "カエル味細胞味覚応答の発現機序とその修飾." 日本味と匂学会誌. 4. 301-302 (1997)
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[Publications] 岡田幸雄,他: "カエル味細胞におけるGTPγS誘発電流とcGMP誘発電流の比較." 日本味と匂学会誌. 4. 463-466 (1997)
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[Publications] 宮本武典,他: "マウス非単離味細胞の酸味刺激情報変換機構." 日本味と匂学会誌. 4. 467-470 (1997)