1997 Fiscal Year Annual Research Report
分泌タンパク質の細胞内輸送過程におけるクオリティーコントロールに関する研究
Project/Area Number |
08672132
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 英昭 長崎大学, 歯学部, 助教授 (40225769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 詠子 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (10176612)
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
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Keywords | タンパク質 / クオリティーコントロール / 糖鎖 / カテプシンE / ツニカマイシン / プロテアソーム |
Research Abstract |
分泌経路を経由するタンパク質の多くは小胞体において糖鎖が付加される。その修飾はタンパク質の折り畳み、分子の安定化、さらには細胞内輸送に影響を及ぼしていると考えられる。本研究では、カテプシンE(CE)という細胞内アスパラギン酸プロテアーゼのN-結合型糖鎖を薬剤処理よって欠失させたときに観察されるCEの分解を実験モデルとし、この場合のタンパク質のクオリティーコントロールがどのようなメカニズムで起こるのかを検討した。ラットCEを発現させたNRK細胞に、糖鎖付加阻害剤であるツニカマイシンを作用させると、時間の経過に伴い細胞内のCEが減少した。このツニカマイシンにより誘導されるCEの分解はブレフェルディンA、バフィロマイシンA1、NH4Clを加えても阻害されなかったことから、リソゾームではなくプレーゴルジ領域内で行われていることが示唆された。一方、糖鎖を完全に欠質させた変異体CEにツニカマイシンを作用させた場合にも急速な分解が認められた。この結果は、ツニカマイシンによるCEの分解は糖鎖付加阻害そのものではなく、ツニカマイシンの別の効果によるものであることを示唆していた。ツニカマイシン処理をした細胞中のBiP(小胞体内の分子シャペロンの一つ)の細胞内半減期に変化は認められなかった。ツニカマイシンにより誘導されるCEの分解は、プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチンやALLNによっても阻害されなかった。以上の結果から、この分解にはプロテアソームが関与するような小胞体での分解機構とは異なる、別の新しい機構が関与していることが示唆された。
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[Publications] D.F.Sastra dipura et al: "Identification of cellvlar Compartmenes involved in processing of cathepsin E in primary cultures of rat microglia" Journal of Neurochemistry. 70(In Press). (1998)
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[Publications] S.Ikeda et al.: "Rapid degradatlon of cathepsin E in pre-Golgi compartments by tunicamycin treatment" Dentistry in Japan. 34(In Press). (1998)
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[Publications] H Sakai etal.: "Proteolysis in Cell Function" U.K. Hopsu-Havu, M.Jarvinen & H.Kirschke eds. IOC press (Amsterdam), 576(分担6ページ) (1997)
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[Publications] K.Yamamoto etal.: "Proteolysis in Cell Function" U.K.Hopsu-Havu, M.Jarvinen & H.Kirschke eds. IOC press (Amsterdam), 576(分担8ページ) (1997)