1998 Fiscal Year Annual Research Report
ムシ虫成図多糖とエナメル質表面相互作用の多面的解析
Project/Area Number |
08672135
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 宏蔵 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (60100187)
|
Keywords | Streptococcus sobrinus / ハイドロオキシアパタイト / 乳酸 / カルボキシメチルキチン / エチレングリコールキチン |
Research Abstract |
平成9年度までの研究から,歯の表面のエナメル質のモデルである疑似六方晶系の結晶構造を持つハイドロオキシアパタイト(HAP)と虫歯成因のプラークの成分であるα-Glucanとの間には水素結合のような強い相互作用は存在しないと考えられた. 従来,キチン誘導体などの虫歯予防物質の効果は,虫歯成因である唾液細菌Streptococcus sobrinusに対する阻害作用で測られてきた.一方,虫歯形成の直接の原因はS.sobrinusによるショ糖分解生成物の乳酸が歯の表面を構成しているエナメル質のHAPを溶解する,いわゆるエナメル質の脱灰であるとされている.そこで,虫歯予防剤として使用されているカルボキシメチルキチン(CMキチン),エチレングリコールキチン(EGキチン)とキシリトールについて,疑似六方晶系のHAPの乳酸溶解性に対するそれぞれの添加効果を検討した.その結果,HAPの乳酸溶解性に対するキシリトール添加効果は見られなかったが,CMキチンとEGキチンの添加では溶解性が低下した.この効果がキチン誘導体の高分子性によるものであるかどうかを調べるため,カルボキシメチルセルロース,キトサン,水溶液の部分脱アヤチル化キチン,デキストランの添加効果を調べたが,いずれもHAPの乳酸溶解性に対する阻害効果は認められなかった. 以上のことからある種の虫歯予防剤ではS.sobrinusに対する阻害効果以外にHAPに対する乳酸の溶解性を低下させることにより,虫歯予防に寄与するのではないかと考えられた.今後はこの乳酸溶解性に対するキチン誘導体の阻害効果の機構を探求する.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 小川宏蔵: "(解説) 「多糖類の立体構造を見る」" 化学と生物. 35・10. 714-720 (1997)
-
[Publications] K.Ogawa et al.: "Conformational Behavior of Chitosan in the Acetate Salt: an X-ray Study" Biosci.Biotech.Biochem.61・7. 1230-1232 (1997)
-
[Publications] K.Ogawa et al.: "Molecular and Crystal Structure of Hydrated Chitosan" Macromolecules. 30・19. 5849-5855 (1997)
-
[Publications] K.Ogawa et al.: "Chain conformational analysis of beijeran by n-h map calculation" Carbohydr.Res.,. 304. 341-345 (1997)
-
[Publications] K.Ogawa et al.: "An Evaluation of Crystal Structure of Mannan I by X-ray Powder Diffraction and Molecular Mechanics Studies" Int.J.Biol.Macromol.21. 243-250 (1997)
-
[Publications] K.Ogawa et al.: "Crystalline Features of Chitosan-L- and D-Lactic Acid Salts" Biosci.Biotech.Biochem.62・4. 700-704 (1998)
-
[Publications] K.Ogawa(S.Dumitriu Ed.): "Structural Diversity and Functional Versatility of Polysaccharides" Marcell Dekker, Inc., New York, 29(1147) (1998)