1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬用人参によるマウス顎下腺内の生理活性物質誘導能の作用機序
Project/Area Number |
08672138
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Research Institution | Meikai University School of Dentistry |
Principal Investigator |
丸山 七郎 明海大学, 歯学部, 助教授 (00049389)
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Keywords | マウス顎下腺 / EGF / 腺性カリクレイン / 薬用人参 / アンドロゲン レセプター |
Research Abstract |
滋養強壮剤として、種々の薬理作用をもつ事が知られる、薬用人参のマウス顎下腺(SMG)に対する作用を、この腺の生理活性物質の誘導能を指標に検討した。その結果、初年度(平成8年度)では、人参が内因性アンドロゲンの存在化でSMGの生理活性物質を濃度依存的に強く誘導するが、その誘導機序は人参投与で血中テストステロン量に変化が見られなかった事、あるいは内因性アンドロゲンの枯渇した状態では、この誘導が見られなかった事から、人参がこのSMGに何らかの形で直接作用して腺内の生理活性物質を誘導している事を見い出した。そこで、今年度(平成9年度)では、人参による生理活性物質の誘導機序について、この人参がアンドロゲンレセプターを誘導し、それに基づいて腺内の生理活性物質を発現している可能性について検討を行った。その結果、睾丸除去マウス顎下腺の可溶性分画に対するScatchardplot法によるアンドロゲンレセプターの解析では、Kd値が人参投与(対照群)で0.250、人参140mg/kg投与で0.280、350mg/kg投与で0.278各nMであった。しかし、Bmax値では、対照群が50fmol/mg proteinに対して、人参140mg/kg投与で75.350mg/kg投与で125画fmol/mg proteinであった。すなわち、人参投与によって、Kd値(親和性)は変化が見られなかったが、Bmax(結合量)は対照群に比べ約1.5倍(140mg/kg投与)と2.5倍(350mg/kg投与)に増加し、明らかに人参はSMG内のアンドロゲンレセプターを誘導する事が観察された。 以上の事から、本研究の結論は、人参がSMG内のアンドロゲンレセプターを誘導する事によって、この腺の生理活性物質を発現している可能性が示唆された。
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