1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星名 秀行 新潟大学, 歯学部, 助手 (30173587)
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Keywords | ハムスター / 類粘膜癌 / 扁平上皮癌 / 温熱療法 / RF誘導加温 / 頚部リンパ節移転 / 病理組織学 |
Research Abstract |
目的:ハムスター頬粘膜癌に温熱療法を行い、加温後、頸部リンパ節および原発巣を摘出、病理組織学的検索を行い、温熱療法の頸部リンパ節への転移抑制効果について研究した。 対象・方法:可移植癌(0-1N、扁平上皮癌)の腫瘍組織片をハムスターの頬粘膜下に移植後、3週間経過し、直径7mmに達した類円形の腫瘍を加温対象とした。32匹の担癌動物を用い、3群の実験群{(1)温熱群(43℃40分2回、3日間隔、14匹)、(2)Sham群(温度センサー刺入のみ、7匹)、(3)無処置群(麻酔のみ、11匹)}を設定した。加温は13.56MHzのRF誘電型加温装置を用い、直径15mmのアプリケータで腫瘍を挟み、局所加温した。温度測定はC-C熱電対温度計を用い、今年度購入した自動加温制御システムにより、一定の加温状態を維持した。加温後2週、3週、4週に動物を屠殺し、頸部リンパ節および原発巣を摘出固定後、HE染色を施し、病理組織学的検索を行った。リンパ節への移転の有無および転移腫瘍の進展度を辺緑洞型、髄洞型、全体型、節外型に分類し、対照群と比較検討した。 結果:加温群では14匹中、8匹(57.1%)に頸部リンパ節転移が認められ、その腫瘍進展度は全て辺緑洞型から全体型までのリンパ節内にとどまる転移であった。一方、Sham群では7匹中、5匹(71.4%)、無処置群では11匹中、7匹(63.6%)にリンパ節転移が認められ、両群ともその腫瘍進展度は全体型、節外型のより進行した転移であった。なお、各群とも屠殺までの期間が長くなるにつれ、リンパ節の腫瘍進展度は進行していた。温熱群において、原発腫瘍が組織学的に消失した6匹中、1匹(16.7%)に転移が認められたに過ぎないのに対し、原発腫瘍が再増大した8匹中、7匹(87.5%)に転移が認められた。以上より、リンパ節転移は原発巣への温熱効果と相関し、転移巣の腫瘍進展の病態は加温群で軽度であり、温熱療法が転移の抑制に有用である可能性が示唆された。
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