1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナスジンジバリスのヘモグロビン結合性蛋白質の精製と遺伝子クローニング
Project/Area Number |
08672155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 敦雄 大阪大学, 歯学部, 助手 (50193024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
片岡 宏介 大阪大学, 歯学部, 助手 (50283792)
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Keywords | 歯周病原性菌 / P.gingivalis / ヘモグロビン結合性タンパク質 / タンパク分解酵素 / リコンビナントタンパク質 / 鉄源 / 発現誘導 |
Research Abstract |
有力な歯周病原性菌であるPorphyromonas gingivarlis(P.g.)はその増殖において強い鉄要求性を示し、歯肉溝浸出液中に存在するヘモグロビン、トランスフェリン、ラクトフェリンといった鉄結合性タンパク質をその増殖に利用していると考えられる。また、ヘモグロビンはトランスフェリンやヘミンなどと比してP.g.にとってより有効な鉄源と考えられている。本研究では、P.g.のヘモグロビン獲得機構の一端を明らかとするために、本菌のヘモグロビン結合性タンパク質の精製とその諸性質の検討および分子生物学的検索を目的とした。 1)液体培養したP.g.菌体の界面活性剤(CHAPS)処理により外膜タンパク質を分離し、4M尿素存在下でのゲルろ過法、ヘモグロビンアフィニティーカラム、等電点カラムを用いてP.g.のヘモグロビン結合性タンパク質を分離・精製した。 2)精製標品の分子量はSDS-PAGEにより51kDa、等電点はpH5.3を示した。ヘモグロビンとの結合における至適pHは、好気的条件下ではpH6.0、嫌気的条件下ではpH7.5であった。 3)鉄制限下でのP.g.の培養により菌体内での精製タンパク質の発現が誘導されることが示された。 4)精製タンパク質のN末端アミノ酸配列を検索したところ、本標品は既知のP.g.タンパク分解酵素と同一であると考えられ、同酵素の新たなタンパク質機能が明らかとなった。 5)本標品と同一分子と考えられるタンパク質のDNA配列にもとづき設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとして、PCR法により該当遺伝子を増幅させ、サブクローニング後、形質転換を施したE.coli BL21によりリコンビナントタンパク質を発現させ、同タンパク質を精製した。 6)現在リコンビナントタンパク質を用い、精製標品のヘモグロビンとの結合機構について更に検討を加えている。
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