1996 Fiscal Year Annual Research Report
DSA装置を用いた口腔領域悪性腫瘍患者の嚥下障害に関する研究
Project/Area Number |
08672156
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷本 啓二 広島大学, 歯学部, 教授 (10116626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 信一 広島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10263724)
大谷 敬子 広島大学, 歯学部, 助手 (20243587)
末井 良和 広島大学, 歯学部, 助手 (10206378)
福田 登美子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90029984)
杉山 勝 広島大学, 歯学部, 助教授 (70187681)
|
Keywords | 放射線治療 / X線映画 / 嚥下 / 喉頭流入 / 誤嚥 |
Research Abstract |
嚥下における放射線の影響を今年度は2症例観察可能であった.患者は舌癌で,初診時生検前と放射線治療後(化学療法を含む),口腔内の炎症が落ち着いた時点に嚥下のX線映画検査を行った.両時点の検査を比較すると,放射線化学療法後では,嚥下反射を起こす前に造影剤が咽頭へ流入し(Premature swallowing),喉頭流入(Laryngeal penetration)も見られる様になった.また,初診時検査を行わず放射線化学療法後のみの検査を行った3症例でも同様な所見が認められた.これらから,放射線・化学療法が嚥下動態に影響を与える可能性が示唆された.この原因についてはさらに詳細に検討する予定である.また,舌半側切除術を行い再建が行われた4症例についても観察した.これらの患者では全症例で手術後に誤嚥が認められた.この原因は口腔相で食塊形成が不能となったうえ,嚥下反射の協調不全が起こったためと考えられた.一方頚部郭清術のみを行った1症例では手術前後で嚥下動態の変化は認められなかった.これらより,頚部郭清術が嚥下動態に影響を与えない可能性が示唆された.術後誤嚥を示した4症例に対して,誤嚥を防止体位と考えられている顎引き体位を行った場合,4症例中2症例で誤嚥が消失した.この原因を検討したところ,喉頭挙上型誤嚥は消失または改善を示したのに対して,喉頭下降期型誤嚥では改善が見られなかった.従って,舌癌術後喉頭下降期型誤嚥を解決する方法を今後検討する予定である.次年度は症例を増やすことに加えて,これら嚥下動態の変化の原因をさらに詳しく検討する.
|