1996 Fiscal Year Annual Research Report
最新カラードプラ法による口腔癌頚部リンパ節転移の診断法の確立
Project/Area Number |
08672161
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木村 泰男 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (30253686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
有地 榮一郎 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00150459)
米津 康一 長崎大学, 歯学部附属病院, 講師 (70167039)
|
Keywords | 頭頸部癌 / 超音波 / リンパ節転移 / パワードプラ法 |
Research Abstract |
頭頸部癌の頚部リンパ節転移の有無は、治療方針決定の際の重要な因子でありその診断精度の向上は、患者の予後に大きな影響をもたらす。 従来リンパ節転移の診断においては、CTによるリンパ節dimensionの変化、超音波によるhilumの消失等、実質の形状変化をその診断の基本としていた。本研究では、リンパ節の血流状態の変化をとらえることにより転移有無の診断能を向上させることが可能であるかを検討した。 今回行った超音波Power Doppler法は、従来のDoppler法(color Doppler法)に比べvascularityの少ない組織の低血流血管の描出にすぐれている。このことが、比較的血流に乏しいリンパ節の血流描出に適していると考えられる。対象は、インフォムドコンセントの得られた頭頸部癌患者77名である。病理組織学的に確定した転移リンパ節77個、非転移リンパ節220個、合計291リンパ節を用いた。 使用した超音波装置は、GE社製のLOGIQ500で周波数6〜9NHzの高周波帯域の電子リニア走査型プローブで走査した。 従来の速度表示のDoppler法にくらべ、Power Doppler法ではリンパ節やその周囲の血流描出能がすぐれていた。さらに転移リンパ節では、その多くの例で内部や辺縁部等に豊富な血流(83%)が観察された。非転移リンパ節ではそうした症例はほとんど見られなかった(2%)。一方非転移のリンパ節では、リンパ節部門に一致する血流を認めるものがほとんどであった(80%)。以上の結果よりリンパ節転移有無によるPower Doppler信号の変化は極めて特異的で、診断における有用性が認められた。しかしながら転移リンパ節の一部(18%)にて血流信号を認めないものがあり、これらについては、超音波画像上でのリンパ節の長径、短径を測定するなどの方法を用いることも重要と考えられる。
|