1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜における神経原性炎症の解析-特にマクロファージの動態と活性について-
Project/Area Number |
08672178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三條 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 憲明 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (70250800)
栗和田 しづ子 東北大学, 歯学部, 助手 (60225274)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学部, 助教授 (10125560)
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Keywords | 歯根膜 / 逆伝導性血管拡張 / 下歯槽神経 / 感覚神経 / レーザードプラー血流計 |
Research Abstract |
これまで、歯周炎の発現については、歯垢や歯石中の口腔細菌に主眼がおかれ、二次的原因として咬合負担などの関与が検討されてきた。しかし、最近、歯根膜に分布する多数の感覚神経が、単に感覚情報を中枢へ伝達するのみならず、末梢方向へも伝導し神経末端からのneuro peptideを分泌することによって積極的に炎症の発現に関与する(神経原性炎症)可能性が示唆されている。 しかし、この歯根膜の神経原性炎症の可能性については、現在皮膚などで感覚神経由来の血流増加や血漿成分漏出の確認をもとに推測されているに過ぎず、歯根膜組織自体での報告はみられない。そこで本研究は、歯根膜における神経原性炎症の存在の可能性と、神経原性炎症の歯周炎への係わりを解析することを目的とした。 歯根膜は周囲を歯槽骨に被覆される解剖学的特徴をもつことから、歯根膜における神経原性炎症の解析は困難とされてきた。今年度は、我々が開発した歯根膜の血流動態を解析する独自の手法を用い、歯根膜の神経原性炎症の存在について、特に感覚神経の末梢機能としての血管拡張反応について検討を行った。 実験にはネコを用い、下顎犬歯歯根膜を露出し、レーザードプラー血流計により歯根膜血流を持続的に測定した。その結果、 1)中枢端を切断した下歯槽神経を末梢性に電気刺激すると、ネコ歯根膜に血管拡張反応が確認された。 2)上記の血管拡張反応を惹起した神経の種類を同定するために、capsaicinを神経断端に塗布したところ、塗布後一過性に感覚神経の興奮による歯根膜血管拡張がみられ、その後、capsaicinによる感覚神経の脱分極作用によって下歯槽神経の末梢性電気刺激による血管拡張反応が抑制された。 以上の結果より、歯根膜に、感覚神経の末梢機能としての逆伝導性血管拡張が惹起されることが確認された。
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