1997 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント周囲炎の発症機序に関する細菌学的アプローチ-インプラントへの歯周病関連菌の感染時期と感染経路についての検討-
Project/Area Number |
08672200
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷 真彦 長崎大学, 歯学部附属病院, 助教授 (70188374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 芳子 長崎大学, 歯学部, 助手 (90196436)
原 宜興 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60159100)
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Keywords | インプラント / インプラント周囲炎 / 歯周病原性細菌 / 感染時期 |
Research Abstract |
インプラントへの歯周病原性細菌の感染経路と感染時期を検索する目的で以下の研究を行った。歯周初期治療あるいは歯周外科療法が終了したインプラント予定の6名の歯周炎患者に研究の概要を説明し、承諾を得て残存歯の歯周検査(PII、PD、GI)の細菌のサンプリングおよび採血を行った。そして合計13本のインプラントを埋入し、インプラント埋入後2W、1M、3M、6M、12Mにインプラント周囲組織の歯周検査と細菌のサンプリングを行った。また、12Mには再び残存歯の歯周検査と細菌のサンプリングおよび採血を行った。細菌の培養はTSHM培地とTSBV培地を用いて嫌気培養を行い、総菌数、Black pigmented anaerobic rods (BPAR)、Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a)を調べた。また、採血した血液からは血清を分離し、ELISAによる歯周病原性細菌に対する抗体価を測定した。その結果、いずれの被験者も残存歯の歯周検査、細菌検査、ELISAの結果からインプラント埋入前と埋入後12Mではoral hygieneに変化は見られず、インプラントの歯周検査からインプラントの埋入は良好に経過していた。また、インプラントの細菌検査の結果から総菌数は術後1Mまでが多く検出され、この時期にBPARも13部位中3部位で検出された。A.aは13部位中7部位で検出され、その時期は術後2Wから12Mまで様々であった。これらの歯周病原性細菌が検出された被験者では残存歯でも検出されていた。このことから、口腔細菌やBPARのインプラント周囲組織への感染は術後比較的早期に起こることが明らかとなった。また、残存歯に存在する歯周病原性菌はインプラントへの感染に関連があることが示唆された。
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