1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌感染細胞のアポトーシス発現におけるインターロイキン1の役割
Project/Area Number |
08672203
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小鷲 悠典 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60014338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (50281283)
大井戸 真理 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (30275490)
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Keywords | 歯周病 / アポトーシス / マクロファージ / Actinobacilus actinomycetemcomitans / インターロイキン1 / インターロイキン1β変換酵素 |
Research Abstract |
これまでの一連の研究により,我々はActinobacilus actinomycetemcomitans(A.actinomycetemcomitans)感染マクロファージにみられた細胞死がアポトーシスによるものであることを明らかにしてきた。本研究において,A.actinomycetemcomitans感染マクロファージに発現されたアポトーシスにおけるインターロイキン1β(IL-1β)変換酵素の関与の可能性について検討した。 マウスマクロファージにA.actinomycetemcomitansを感染させるin vitroの培養系を用いて,IL-1β変換酵素(ICE)阻害剤を添加し,1)MTTアッセイによる細胞致死活性の測定2)フローサイトメトリーによるアポトーシス細胞の検出3)ELISA法によるIL-1βの測定を行なった。この結果,ICE阻害剤の添加により,A.actinomycetemcomitans感染マクロファージの細胞致死活性は抑制された。また,フローサイトメトリーによる解析結果から,ICE阻害剤の添加によりアポトーシス細胞の検出率は減少した。加えて,A.actinomycetemcomitans感染により増加したIL-1β量がICE阻害剤の添加により減少することが明らかになった。ICE阻害剤による今回の結果は,A.actinomycetemcomitans感染マクロファージのアポトーシス発現にICEが大きく関与する可能性が示された。 A.actinomycetemcomitans感染によるマクロファージアポトーシス発現時に,歯周組織破壊に深く関わることが知られているIL-1の増加が認められたことは,アポトーシスの発現が歯周炎の修飾の一役を担っている可能性を示唆している。さらに,ICE阻害剤によるアポトーシス発現の抑制およびIL-1量の減少は興味ある知見であり,今後,歯周炎の治療への応用を含めて詳細に検討する予定である。
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