1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌由来内毒素の破骨細胞内刺激伝達機構の解明-破骨細胞にのみ発現する新規チロシンキナーゼ遺伝子による解析-
Project/Area Number |
08672205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
栗原 徳善 明海大学, 歯学部, 講師 (10186512)
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Keywords | 歯周病原性細菌 / 破骨細胞 / 骨吸収 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
血液幹細胞からMETファミリー属する新規のチロシンキナーゼ;STKは,48kdのα鎖と158kdの膜貫通型のβ鎖からなる。その結合因子はMSP(Macrophage Stimulating Protein)であることが、受容体のリン酸化と^<125>I-MSPの結合アッセイにより明らかになった。MSPは、693個のアミノ酸で構成される糖蛋白質である。MSPは一本鎖不活性型で分泌されるが、カリクレイン等の酵素が作用し、活性型の二本鎖MSPに変換される。そして還元条件では分子量約47kdのα鎖と22kdのβ鎖に分離する。 マウス破骨細胞,in vitroで形成された破骨細胞様多核細胞およびその前駆細胞と考えられる単核細胞においてSTKの発現が認められることが明らかになった。血液幹細胞から破骨細胞への分化において,このSTK発現の過程をへて破骨細胞への最終分化が達成するものと考えられる。STKに対するモノクローナル抗体を作成して、Flow Cytometryにより検討した結果では、STK蛋白は、骨髄、肺胞および末梢血マクロファージには発現せず、腹腔マクロファージに特異的に発現していることが明らかになった。破骨細胞でのSTKの発現は,その同定を行うために、重要な指標となることを示唆している。破骨細胞にSTKのリガンドであるMSPを添加すると細胞質の伸展を引き起こすことが明らかとなったが、この変化は,MSPの添加5分で見られ,BAF3/STK細胞内でのSTKリン酸化反応とほぼ同じ時間経過で起こっていた。この形態変化は,破骨細胞にMSPを添加することで、raffuld borderにsrcが集積し骨吸収をより活発に起こすものと考えられる。 このように、STKの発現が,血液幹細胞から破骨細胞への分化の指標となることが示唆されるとともに,破骨細胞においてMSP/STKのシグナル伝達が、c-srcを刺激し,骨吸収に重要な働きをしていることを示唆することができた。このSTK/MSPはマウス破骨細胞の機能発現に重要な役割を果たすことを発見した。
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