1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌由来内毒素の破骨細胞内刺激伝達機構の解明-破骨細胞にのみ発現する新規チロシンキナーゼ遺伝子による解析-
Project/Area Number |
08672205
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Research Institution | MEIKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
栗原 徳善 明海大学, 歯学部, 講師 (10186512)
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Keywords | 破骨細胞 / チロシンキナーゼ / 骨吸収 / 歯周病原性細菌 内毒素 |
Research Abstract |
昨年度,c-METに属する新規チロシンキナーゼ受容体STKをクローニングし,マウス破骨細胞の機能発現に重要な役割をはたすことを発見した。最近,ヒトでのSTKに相当する分子はRONであることが明らかにされたため,ヒト骨髄細胞由来破骨細胞においてRONの発現を検討し、そのリガンドであるMSPの作用,またMETのリガンドであるHGFの作用を検討した。あわせて、src,FAKなど非受容体型チロシンキナーゼの細胞内分布を検討した。その結果,ヒト多核細胞にMSPを添加することにより,(1)多核細胞の40〜50%は,RON抗体に対し,陽性であった。(2)MNCに形態変化がおこり細胞突起の伸展,細胞の肥厚が認められた。その際,(3)MNC周囲にFAKがより明確に認められた。(4)c-srcの局在は,未刺激群と比較して細胞周囲に変位した。(5)MNCにhylの存在が認められたがMSP添加による変化は著名ではない。(6)従来からヒト骨髄由来の破骨細胞様細胞では,骨吸収はみられないといわれているが,今回の結果ではMSP添加によって骨吸収が対照群に比して約4倍の面積に達した。(7)HGFでは有意な骨吸収促進は認められなかった。(8)また,HGFはCFU-GMに由来する細胞の増殖を促進するが,MSPには認められなかった。 RONのリガンドであるMSPをヒト破骨細胞に添加することによって骨吸収促進およびc-src,FAKの発現が増加したことから,RONの作用によりc-src,FAKを介して破骨細胞の機能亢進をしている可能性が示唆された。HGFはCFU-GM系細胞の増殖を促進し,その結果として破骨細胞の形成を促進するのに対し,MSPは,増殖は促進せず形成されたMNCの機能を促進することが考えられた。
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[Publications] Kurihara N., Iwama A., Tatsumi J., Ikeda K.and Suda T.: "Macrophage-stimulating protein activates STK receptor tyrosine Kinase on osteoclasts and facilitates bone resorption by osteoclat-like cells" Blood. 87・9. 3704-3710 (1996)
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[Publications] 栗原徳善,辰巳順一,池田克巳,岩間厚志,須田年生: "新規受容体型チロシンキナーゼ;STKは、破骨細胞に発現し、その結合因子MSPは、骨吸収を促進する" 日骨代謝誌. 14・1. 6-13 (1996)
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[Publications] 下山雅通,栗原徳善,辰巳順一: "歯周病原細菌のリポ多糖体による破骨細胞形成機構の解析" 日歯周誌. 39・3. 313-323 (1997)
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[Publications] Kurihara N., Tatsumi J., Arai F., Iwama A.and Suda T.: "MSP and its receptor,RON stimulates the activity of human osteoclasts but not their proliferation : distinct effect of MSP from HGF" Exp.Hematology. 27(in press). (1998)