1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯周組織由来細胞に対するPMNによる細胞傷害性
Project/Area Number |
08672212
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Research Institution | KANAGAWA DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
堀 俊雄 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 眞二 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60121018)
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Keywords | 多形核白血球 / ヒト歯周組織由来細胞 / 細胞傷害性 |
Research Abstract |
健康な付着上皮や歯肉溝中に存在する多形核白血球(PMNs)は、生体防御機構の最前線において重要な役割を担っている。一方、炎症局所におけるPMNsの過剰反応は、組織傷害性に働くことが示されている。このPMNsによる傷害機構を歯周組織由来細胞で検索することは、歯周疾患の発症機序を解明するうえで重要である。そこで、前年度はヒト歯肉由来上皮細胞(HGE)、ヒト歯肉由来線維芽細胞(HGF)に対してPMNsが細胞傷害性に働くことを認めた。本年度は本システムにおける細胞傷害性の機構を、活性酸素の影響について検索した。 1.ポジティブコントロールであるHGFの単層培養に1000ng/mlLPS(Salmonella typhosa)と10^6MFMLPの同時刺激は、コントロール(D-MEM)と比較し、統計学的に有意(p<0.05)に高い細胞傷害率を示した。 2.HGFの単層培養に対し、LPSとFMLPの同時刺激時にO_2^-の消去剤であるSOD(10μg/ml:3,300U/μg)とH_2O_2の消去剤であるCatalase(100μg/ml:6,900U/mg)を別々に添加し、ポジティブコントロールと比較した結果、細胞傷害抑制率に有意な差は認められなかった。 3.HGFの単層培養に対し、LPSとFMLPの同時刺激時にSOD(10μg/ml)とCatalase(100μg/ml:6,900U/mg)を同時添加し、ポジティブコントロールと比較した結果、細胞傷害抑制率に有意な差は認められなかった。 以上のことは、HGF単層培養に1000ng/mlLPS(Salmonella typhosa)と10^6MFMLPの同時刺激の細胞傷害性の系において活性酸素のO_2^-とH_2O_2とは別の活性酸素種によるか、または、PMN由来の酵素によるものと思われる。
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[Publications] 出口眞二: "ヒト歯周組織由来細胞の化学走化性に対するテトラサイクリン系抗生物質の影響" 歯科薬物療法. 16. 1-5 (1997)
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[Publications] Shinji Deguchi: "Influence of adhesion molecules on periodontal disease" The Bulletin of Kanagawa Dental College. 23. 109-114 (1997)
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[Publications] 相原治美: "HPLFの機械的外力による細胞応答の研究:コラーゲンゲル収縮による変化" 神奈川歯学. 32. 89-95 (1997)
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[Publications] 金 祥宇: "ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)の増殖と分化および細胞接着・伸展因子(CASF)に対するIGF-Iの影響" 神奈川歯学. 32. 195-201 (1997)