1996 Fiscal Year Annual Research Report
難治根尖性歯周炎における起炎菌のバイオフィルム形成の有無と有効薬剤の検討
Project/Area Number |
08672215
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
滝澤 久 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90089425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 雅子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00217803)
|
Keywords | 難治根尖性歯周炎 / 起炎菌 / バイオフィルム / グライコカリックス / 有効薬剤 |
Research Abstract |
鶴見大学歯学部附属病院保存科にて感染根管治療を行っている患者の中で、5回以上の治療回数を要しながら浸出液や疼痛の消退が認められないため、難治性の根尖性歯周炎と診断された患者の根管より、細菌を採取して分離同定を行った。 ラバーダム防湿下で根管に挿入したペ-パ-ポイントを、5%馬脱線維血液加ブルセラHK寒天培地上に塗抹し、直ちに37℃で嫌気培養を行った。肉眼的に形態の異なるコロニーを釣菌してグラム染色後、各種の細菌同定検査を行った。患者延べ人数39名で採取した細菌総数149種であった(1人平均3.8種 最少1種、最多12種)。同定できた細菌は25種及び真菌であった。 その中からStreptcoccus intermedius,Staphylococcus arueus,Enterococcus faecium,Enterococcus avium,Actynomyces ieraerii,Actynomyces viscosus,Candida albicansの7菌種を選び、Biofilmの形成能を検討した。培地はTryptic Soy Brothを基本に、糖を添加したものと無添加のものを使用した。平底マルチプレートに接種し、経時的に12日間37℃で静地培養を行った。培養期間終了後、滅菌蒸留水で洗浄し、固定、染色を行った。 その結果、7菌種全てにBiofilmの形成能が認められた。しかし菌の種類によってBiofilmの形成速度に差がみられた。また、培地及び培地の添加物によってBiofilmの形成量に差が生じた。 以上のことより難治根尖性歯周炎においては、細菌の残存と共に、その性状が大きな要因になる可能性が示唆された。今後菌種を増やしてさらに検討すると共に、Biofilm形成後の細菌に対する有効薬剤についても調べていく予定である。
|