1996 Fiscal Year Annual Research Report
筋のエネルギー代謝分析を応用した顎関節症患者における筋拘縮の発現機序に関する研究
Project/Area Number |
08672222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 泰彦 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90200617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕輪 和行 北海道大学, 歯学部, 助手 (30209845)
小松 孝雪 北海道大学, 歯学部, 助手 (90271668)
木村 朋義 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30234371)
井上 農夫男 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (20091415)
戸塚 靖則 北海道大学, 歯学部, 教授 (00109456)
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Keywords | ^<31>P-MRS / 咀嚼筋拘縮 / 筋疼痛 / 咬筋 / 顎関節症 / 筋エネルギー代謝 |
Research Abstract |
1)閉口筋の拘縮性伸展障害に筋のエネルギー代謝が関与するか否かについて:本学歯学部附属病院に来院した顎関節症患者のうち,典型的な咬筋の拘縮を有する患者を対象として^<31>P-magnetic resonance spectroscopy (以下^<31>P-MRSと略す)検査を行ない咬筋組織内のクレアチンリン酸,無機リン,ATPの比率を求め筋のエネルギー代謝を分析した.その結果,大部分の症例で筋組織内のエネルギー源であるクレアチンリン酸の比率の低下が認められ、エネルギーレベルの低下が疑われた.しかし,このエネルギーレベルの低下が筋の伸展障害の原因となっているのか,あるいは,逆に筋の伸展障害により二次的に咬筋が疲労し,エネルギーレベルが下がっていたのかについては,さらに検討しなければ結論はでない. 2)筋の異常緊張が拘縮性伸展障害に関与しているか否かについて:^<31>P-MRS検査を行なった典型的な咬筋の拘縮を有する患者に対し,咬筋の筋電図検査を行なったところ,安静時の筋電図波形では異常筋放電が認められないものが多く,波形の積分値を比較しても正常者と大きな差は今のところ認められていない.この結果から,筋の拘縮で安静時の筋の異常緊張が必ずしも伴わない場合もある可能性が示唆されたが,被験者数をさらに増やして検討する必要があるとともに,開口時や咀嚼時の筋活動の分析を追加して行く予定である. 3)閉口筋の拘縮性伸展障害の発現機序が筋の疼痛の発現機序と異なるのか否かについて:臨床症状から症例をまとめると,閉口筋の拘縮性伸展障害には筋の疼痛が併発している場合が多かったが,一部に疼痛をほとんど訴えない閉口筋の拘縮性伸展障害による開口障害を有する患者も見られ,臨床的な筋の拘縮と疼痛の発現機序が異なる場合がある可能性が考えられた.しかし,これについても次年度さらに対象を増やして検討する予定である.
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