1996 Fiscal Year Annual Research Report
高カルシウム食が実験的骨粗鬆症における顎骨の骨動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
08672236
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 隆志 岡山大学, 歯学部, 教授 (80034172)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 哲也 岡山大学, 歯学部, 助手 (60238160)
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 高Ca食 / 下顎骨 / 硬口蓋骨組織 / 骨形態計測 / ラット |
Research Abstract |
本研究は,骨粗鬆症における義歯床下組織の変化に関する研究の一環として,低カルシウム(Ca)食飼育と卵巣摘出とによって誘発した骨粗鬆症ラットの下顎骨骨組織および臼歯部口蓋骨組織の吸収ならびに形成動態に対して,高Ca食が及ぼす影響について組織計測的ならびに病理組織学的手法を用いて検討した. 6週齢のウイスター系雌性ラット45匹×2群=90匹に両側の卵巣摘出を施し,施術12週後まで低Ca食(Ca:0.02%)飼育を行い,実験的に骨粗鬆症を発症させた.その後,低Ca食群には施術32週後に至るまで低Ca食を与え続け,高Ca食群には施術12週経過の後は高Ca食(Ca:2.30%)を与えた.観察期間は施術12,13,14,16,18,20,22,24および32週後とし,各観察期間終了の10日前と3日前に骨組織の蛍光ラベリングを行った.各観察期間毎に各実験群の5匹ずつを屠殺して,下顎骨および臼歯部口蓋骨組織を採取し,Villanuevaの骨染色を施した後,前頭断末脱灰研磨標本を作成した.二次元画像解析装置を用いて測定した第一次パラメータに基づいて,第二次パラメータとして分画吸収画率,分画形成面率ならびに石灰化速度を算出した.なお,下顎骨では海綿骨を計測の対象とした.得られた第二次パラメータについて実験群毎に平均値と標準偏差を求め,各観察期間毎に各実験群間の有意差検定(t検定)を行った. その結果,骨組織の形成と吸収は,下顎骨では観察期間を通じていずれも経時的に減少しつつほぼ平衡状態を保った.一方,臼歯部口蓋骨組織では,術後13〜16週(高Ca食飼育後1〜4週)には形成量が吸収量を上回り,術後18週以降にはほぼ平衡状態を示した.本研究の結果は,本研究の同一条件下で施術12週後以降に観察された下顎骨における骨量の維持ならびに臼歯部口蓋骨組織における骨量の増加(原ら,1996)と整合性を示すものである.
|