1996 Fiscal Year Annual Research Report
骨内インプラント表面あらさに依存する骨芽細胞の増殖・分化について
Project/Area Number |
08672246
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小城 辰郎 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (80153542)
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Keywords | 純チタン / 表面あらさ / 細胞培養 / 骨芽細胞 / 細胞形態 / 細胞増殖度 / ALPase活性 |
Research Abstract |
JIS規格第1種の純チタンに各種のあらさの表面処理(研磨面,25,50,125μmブラスト処理面)を施し,フッ酸・硝酸混合液による酸処理を加えたものを試験片とし,実験に使用した.細胞培養には新生ラット頭蓋冠から分散したcalvalial osteoblastic cellsを用いた.それぞれの表面処理を施したチタン試験片の表面に上記の細胞を播種し,培養した. まず,24,48時間後の細胞動態を走査型電子顕微鏡により観察した.次いで,細胞増殖度ならびに細胞分化については,培養1時間後(0日)を対照として,3,6,9,12日後のWST-1アッセイとALPase活性を測定し,以下の結果を得た. 1.研磨面では試料面上に細胞質を伸展させ扁平に接着している様相を呈していた.一方,ブラスト処理を加えた試料表面では不規則な凹凸面が大きくなるにつれて細胞は密着することなく,凹凸面をまたぐように多数の細胞質突起を伸ばして試料面に接着していた. 2.細胞増殖度において,培養0,3日後ではいずれの試験片においても同様な値を示し,6.9日後では直線的な増殖傾向がみられた.12日後では125μmのブラスト処理を加えた試験片上で最も高い値を示していた. 3.ALPase活性の測定では,いずれの試験片においてもALPase活性値は経日的に上昇する傾向がみられた.他の試験片に比べて,125μmのブラスト処理を加えた試験片上で培養された細胞には高いALPase活性がみられ,12日後では最も高い値を示した. 以上の結果より,in vivoにおけるインプラント・骨界面での骨形成に関して,粗面を有するインプラントにおいては速やかな骨芽細胞群の増殖がなされ,形成された新生骨組織がチタン表面の凹凸構造に侵入して機械的な嵌合効果が得られ早期に安定した骨統合が達成されることが示唆された.
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