1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属アレルギーの原因となる口腔内修復物のイオン溶出量の簡易測定法について
Project/Area Number |
08672248
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古川 良俊 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40156956)
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Keywords | 金属アレルギー / イオン溶出量 / 簡易検出法 / 分光光度計 / ニッケルイオン / クロムイオン |
Research Abstract |
金属アレルギーに対する歯科的対応として,口腔内の金属修復物から削片を微量採取してX線元素分析により成分を確認し,パッチテスト陽性金属と照合して撤去の必要性を判定していたが,検査に長時間を要し費用もかさんでいた.本研究の目的はX線元素分析法に代わる簡便な分析法を確立することにあり,口腔内より金属イオン溶出量を直接検出する方法を考案し,臨床での有用性を検討した.被験者は金属アレルギーの既住がなく,天然歯列および個性正常咬合を有し,本実験の主旨を理解し協力の得られた男性4名,女性2名計6名とした.Ni-Cr合金とCo-Cr合金の2種類の歯科用合金により可撤性メタルスプリントを装着し,溶出する金属イオンを検出するため,機能的条件としてグラインディングを左右方向1ストローク1秒にて行い,5分間継続した後試料を採取した.各イオンの測定回数は被験者1人につき3回計18回とし,唾液と含嗽水を合わせて1試料につき25ml採取した.これをもとに島津製作所製分光光度計UV-1200Vと水質測定プログラムパックの組合せで,共立理化学研究所製分析試薬を応用して,CrイオンとNiイオンについて濃度測定を行った. 実験結果は,Ni-Cr合金からのCrイオン溶出量は最小値0.06mg/l,最大値0.293mg/l,平均値0.139mg/l,標準偏差0.060mg/lであった.Niイオンは最小値0.496mg/l,最大値1.094mg/l,平均値0.654mg/l,標準偏差0.168mg/lであった.さらに,Co-Cr合金からのCrイオン溶出量は最小値0.022mg/l,最大値0.141mg/l,平均値0.084mg/l,標準偏差0.042mg/lであった.以上の結果からグラインディングを5分間継続する機能的条件下において,全顎的な補綴物であればCrイオンとNiイオンは検出限界に近いながらも分析が可能であることが判明した.
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