1997 Fiscal Year Annual Research Report
飲食物類似溶液中に長期浸漬したコンポジットレジンの性質の変化
Project/Area Number |
08672261
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
平野 進 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (00089400)
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Keywords | コンポジットレジン / 機械的性質 / 物理的性質 / 色調 / 浸漬試験 / 食物類似溶液 |
Research Abstract |
飲食物類似溶液中として、20%アルコール水溶液、クエン酸水溶液、サラダ油および蒸留水を選択し、3種類のコンポジットレジンをこれらの溶液に浸漬してその性質の変化について調べた。 これらの溶液に浸漬しすると、溶液の呼吸率は、100日以内に呼吸飽和に達する。20%アルコール水溶液、クエン酸水溶液、および蒸留水では供試したコンポジットレジン3種類いずれも、500日浸漬まではほぼ吸水飽和の値を示したが、1000日迄浸漬すると、浸漬溶液間に有意な差がみられた。20%アルコール溶液浸漬では、どのコンポジットレジンにおいてもその吸収率は浸漬期間の増加にともない、増加傾向にあった。クエン酸溶液浸漬では、浸漬期間の増加にともない、吸収率が減少する傾向があった。特にフィラー量の多い臼歯部用コンポジットレジンでは顕著であった。この原因はフィラーにバリウムガラスが含まれているものと考えられた。蒸留水浸漬では、吸水飽和に達した後、その吸収率は試験期間中ほぼ一定であった。サラダ油浸漬では上述の水溶液の吸収率の1/3-1/4を示した。 これらの溶液浸漬によって、マトリクスレジンは、初期には溶液を吸収して可塑化するため、100日後には曲げ強さは上昇する傾向にあった。とくにサラダ油はその効果が著しかった。500日以降はアルコールと、クエン酸水溶液ならびに蒸留水ではフィラー・マトリクス界面の結合を低下させ、コンポジットレジンの機械的性質の低下原因となることが示唆された。 各種溶液浸漬による色調の変化は、当然のことながら溶液の色調が濃い溶液を吸収すると色調の変化が大きくなった。浸漬試料を乾燥した後、その色調変化を測定すると、浸漬前と明らかに異なっていて、フィラー・マトリクス界面の結合を低下の原因と考えられるマイクロクラックの発生を色調変化測定からも示唆していた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 平野 進ほか: "食物類似溶液に浸漬したコンポジットレジンの性質の経時的変化" 歯科材料・器械. 15巻6号. 568-576 (1996)
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[Publications] S.Hirano et al.: "Deterioration on Resin Composites Immersed in Food Simurating Solutions" J Dental Research(Special Issue)♯2458. Vol.76. 321 (1997)
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[Publications] 平野 進ほか: "食物類似溶液に長期浸漬したコンポジットレジンの色調変化" 歯科材料・器械. 17巻6号. 472-478 (1997)