1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌発癌過程における転写因子RB蛋白質の関与に関する研究
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08672279
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学部, 助手 (80180066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学部, 助手 (30230816)
出山 義昭 北海道大学, 歯学部, 助手 (80271667)
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Keywords | 口腔癌 / RB蛋白質 / リン酸化 / 転写因子 / 発癌遺伝子 |
Research Abstract |
DMBA誘発ハムスター実験口腔癌ではDMBA塗布開始後12日の白板状態に至るまでにはRB蛋白質のリン酸化に変化は認めれれなかった。その後、塗布開始後40日目までにほとんどの動物にあいて腫瘤の形成が認められたが病理組織学的に悪性化の像はほとんど観察されなかった。また、RB蛋白質のリン激化にも変化は認めれれなかった。 今年度は、前年度に行ったDMBA誘発ハムスター実験口腔癌試料を用いた予備実験をもとに実際に口控癌と診断され、手術により摘出された臨床サンプルを用いて、口腔癌発癌と耶蛋白質リン酸化の関係について検索を行った。 本研究は、北海道大字歯学部附属病院において歯肉癌や舌癌などの口腔癌と診断された14症例について手術により摘出された組織を用いてヒト抗RB抗体を用いた免疫沈降法によりRB蛋白質のリン酸化の程度を検討した。その結果、安全域として癌組織と同時に摘出された正常組織と比較して癌組織においてRB蛋白質のリン酸化の程度は低い傾向にあった。転写因子としての高リン酸化型RB蛋白質は種々の癌遺伝子の転写を抑制することが最近報告されている。本研究の結果からRB蛋白質のリン酸化の低下により口腔癌発癌に関与する何らかの癌遺伝子の転写が促進されていることが示唆された。 本研究によりRB蛋白質のリン酸化の程度を調べることによる口腔癌の診断の可能性が示唆された。今後はより早い時期に前癌状態を把握し、発癌を食い止めることを目的として白板症などの組織を用いてRB蛋白質のリン酸化について検討を進めると共にRB蛋白質が如何なる癌遺伝子の転写を抑制しているのか調べていく予定である。
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