1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の浸潤転移における細胞外基質分解酵素とそのインヒビターの役割
Project/Area Number |
08672315
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
川又 均 徳島大学, 歯学部, 助手 (70224847)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 細胞外基質分解酵素 / マイクロダイセリション / ザイモグラフィ / サイトケラチン / RT-PCR |
Research Abstract |
当研究室で分離樹立した口腔扁平上皮癌細胞BHY細胞とHN細胞における細胞外基質分解酵素の発現と、ヌードマウス同所移植モデルを用いて評価した浸潤転移能との関連性につき検索した。その結果、BHY細胞の高い局所浸潤能には大量に産生されているproMMPs(proMMP1,proMMP2,proMMP7,proMMP9)とそれらのインヒビターであるTIMP1低下が、また骨浸潤能にはprocathepsin Lの発現が、さらにHN細胞のリンパ節転移には活性型MMP2の発現とその特異的インヒビターであるTIMP2の低下が関与していることが示唆された。 次に末梢血液中に存在する癌細胞の検出を目的に、健常人より採取した全血(5ml)に口腔扁平上皮癌細胞HNtを混入し、末梢血からは検出されない上皮細胞マーカーとしてCytokeratin 20(CK20)mRNAの発現をRT-PCR法により検索を行った。その結果、全血5ml中に10^2個以上の癌細胞を混入した場合CK20mRNAの増幅が可能であった。さらに、口腔癌患者末梢血よりCK20mRNAの検出を試みたところ、12例中11例よりCK20mRNAが増幅された。さらに口腔癌生検材料あるいは正常歯肉より凍結切片を作製し実体顕微鏡下で上皮部(癌部)とそれらに接触する間質部を分けて回収し、ゼラチンザイモグラフィーを行った。正常歯肉においては上皮部ではほとんどゼラチネース活性は検出されず、間質部でわずかに検出された。一方、腫瘍組織の上皮部(癌部)には高いゼラチネース活性が検出され、癌に接している間質部には相対的に活性型MMP2の上昇が認められた。さらに遠隔転移、リンパ節転移を示した症例は転移を示さなかった症例に比較して高いゼラチネース活性を示した。以上のような方法で口腔扁平上皮癌患者の浸潤転移能から見た予後推定を行っている。
|
-
[Publications] Hitoshi kawawata,kohichi Nakashiro Daisuke Uchida,Kaji Harada,Hieo Yoshida,Mitsunobu Sato: "Possible Contrihution of Active MMP2 to Lymph-nodc mctastasis and Secreted Cathepsln L to bone lnvasion of hewly established human oral squamaus Cancer coll line" International Journal of Cancer. 70(1). 120-127 (1997)