1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮の創傷治癒における表皮細胞増殖因子の役割
| Project/Area Number |
08672316
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokushima |
|---|
Principal Investigator |
伊賀 弘起 徳島大学, 歯学部, 助手 (40175188)
|
|---|
| Keywords | 表皮細胞増殖因子 / KGF / 口腔粘膜上皮 / ケラチノサイト / 歯原性角化嚢胞 |
|---|
| Research Abstract |
表皮細胞増殖因子(KGF)は皮膚においてその受容体とともに創傷治癒に深く関与していることが知られている。しかし口腔粘膜上皮におけるKGFの役割は明らかにされていない。そこで本研究では、培養ケラチノサイトにおよぼすKGFの影響を検討した。既に我々は、KGFがケラチノサイトの細胞増殖と走化性を有意に促進することを平成8年度研究実績報告書において報告しており、この結果は、口腔粘膜においてもKGFが創傷治癒に関与していることを示唆している。さらに本年度は、Digoxigenine標識ヒトKGFオリゴヌクレオチドポローブを用いたin situハイブリダイゼーションにて、KGF mRNAの発現を検索した。しかし正常粘膜組織においては、明らかな陽性シグナルは検出されなかった。この理由は明らかでないがおそらく正常粘膜でのKGFの発現量は極めて低く、創傷などの刺激が伝達されることによってはじめてその合成が促進され、再上皮化がすすむと思われる。現在、器官培養法を用いてKGFの創傷治癒に対する影響を検索中であり、さらにin situ PCRによる解析も予定している。
一方、近年ある種の疾患の病因とKGFとの関連性が示唆されている。そこで嚢胞性病変におけるKGFの発現を免疫組織学的に検討した。その結果、含歯性嚢胞歯根嚢胞にはKGFは検出されなかったが、歯原性角化嚢胞および同一患者の再発病変においてその嚢胞壁にKGFの存在を示唆する陽性のシグナルが検出された。歯原性角度嚢胞はその嚢胞上皮の増殖能が高く、再発しやすいといわれており、本研究の結果はこの疾患の特徴あるいは病因にKGFが関与していることを示唆するものである。
|
Research Products
(1 results)
