1997 Fiscal Year Annual Research Report
ホルター心電図から解析する長時間麻酔時の心電図変化誘因に関する研究
Project/Area Number |
08672337
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
杉山 あや子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80171180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 譲 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085747)
一戸 達也 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40184626)
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Keywords | 長時間麻酔 / 心電図変化 / ホルター心電図 |
Research Abstract |
本研究は長時間手術の術中術後合併症の1つに挙げられる心電図変化(異常)の誘因を明確にすることを目的に行った。 本研究に同位のいられた口腔領域悪性腫瘍手術患者を対象に、術前と手術当日の心電図をホルター心電図によって24時間連続的に収録・解析し、その変化を観察した。全身麻酔は通常の急速導入法にて気管内挿管を行い、吸入麻酔薬と静脈から投与する麻薬性または非麻薬性鎮痛薬の併用法で維持した。全身麻酔中は不整脈の誘因となる動脈血中酸素分圧の低下および二酸化炭素の上昇を除外するため、動脈血ガス分圧を行い測定値を確認したさらに全身麻酔終了時まで、非観血的動脈酸素飽和度と呼気炭酸ガス濃度を連続的に測定した。術前と手術当日のホルター心電図解析結果に全身麻酔の術前検査として必ず行われている安静時心電図を加え、心電図変化(異常)の誘因について検討した。口腔領域悪性腫瘍は高年齢槽に好発する。したがって今回の対象も高齢者が多かった。安静時心電巣にて問題となる異常所見(不整脈)を示したものはなかったが、24時間連続的に観察することで多くの患者に安静時心電図では見られなかった不整脈を認めた。いずれも不整脈の程度や患者の自覚症状から器質的心疾患は否定される。手術当日の24時間心電図では術前に認めた不整脈の増加が見られ、さらに手術室と病室(術後)に分類し比較すると前者より後者にて不整脈を多く認めた。ただし、これらの不整脈で治療を要したものや心筋へ非可逆的的損傷の加わったものはなかった。 心電図変化(異常)の主な誘因に、既存の心血管系疾患、手術操作や侵襲、全身麻酔薬および全身管理が考えられる。手術操作については電気メスの影響により判断不可能となった。全身麻酔薬については部整脈が見られた時期から誘因として否定される。したがって誘因は既存の心血管系疾患、手術侵襲に伴う自律神経系の反応、術中術後管理にあると考えられる。今後、症例を増やして年齢、手術内容や手術侵襲を分類してさらに観察する必要がある。
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