1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯科インプラントの咬合圧による応力分布に伴う、3次元有限要素法の有用性
Project/Area Number |
08672346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
兼松 宣武 朝日大学, 歯学部, 教授 (40076097)
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Keywords | 三次元有限要素法 / 応力分布 / 歯科用インプラント |
Research Abstract |
植立された歯科用インプラントに咬合力が加わった場合に、インプラント周囲の歯槽骨に加わる応力分布を検索する目的で、三次元有限要素法を用いて、ステリオスインプラント(ヒドロキシアパタイトコーティングタイプ)が下顎骨に植立され、骨に接合した状態を想定し、主応力の分布を検索したところ下記の事項が判明した。 下顎骨に植立したインプラントに垂直方向より荷重を加えた場合、インプラント体周囲の歯槽骨における応力分布は、インプラント頸部周囲の皮質骨に圧縮応力が集中する所見が認められた。なお、歯科インプラント体に加わる咬合力は、必ずしもインプラントの植立方向に垂直に加わるとは限らない。むしろ抜歯後の歯槽骨の吸収により、対合歯の対向関係に変化が生じて、インプラントに荷重される咬合力が、インプラント体に対して側方より荷重される可能性が高い。それゆえに、インプラント体に対して、側方から外力が加わった場合の応力分布の変化を検索する目的で、インプラント体に対して頬側20°の方向より荷重を加えた。その結果、頬側20°方向より外力を加えると、インプラント頸部に接する骨皮質部の圧縮応力が増大した。これらの結果より、下顎骨に植立したインプラントに外力が加わった場合、外力の向きが垂直の場合に、その周囲の歯槽骨にかかる圧縮応力が最小であり、側方向から外力が加わると、圧縮応力は増大する傾向がみられた。 以上の所見より、インプラントの植立ならびに上部構造物の作成は、出来限り垂直方向に咬合力が加わる様に設計する必要があることが判明した。
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