1996 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼時の頭部の動きと頚部の筋活動に与える咬合接触状態の影響について
Project/Area Number |
08672362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 健治 大阪大学, 歯学部, 教授 (50127247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 正一 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
社 浩太郎 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
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Keywords | mastication / mandibular movement / head movement |
Research Abstract |
良好な咬合を有する成人男性9名(25歳〜30歳)を被験者とし、咀嚼時の上顎中切歯点および下顎中切歯点の動きを、3次元動画像解析システム(MAS-TD V2.00、ケイオ-電子工業株式会社、大阪)を用いて測定した。それぞれの標的の動きの測定は、2台のCCDカメラによって画像として取り込み、その標的の3次元座標を求めた。被験食品はハードガム(グリコ社製、大阪)を用い、被験動作としては、咀嚼側を指定した片側臼歯部咀嚼を行わせた。データの解析については、空間座標値および時間軸の正規化を行うことにより、被験者間の比較および平均を可能とした。研究成果としては、垂直成分について、全被験者において、開口に伴い、上顎は上方に移動し、閉口に伴い、上顎は下方に移動した。また、上顎中切歯点が最上方位を示す時刻と下顎中切歯点が最下方位を示す時刻との間に相関関係が認められた。また、水平成分については、下顎が咀嚼側へ移動するのに伴い、上顎は非咀嚼側へ移動し、下顎が非咀嚼側に移動するのに伴い、上顎は咀嚼側へ移動した。このように、咀嚼時に、上顎と下顎の動きは時間的、空間的に相互に関連していることが示唆された。従来の下顎運動記録装置では、上顎を基準とした下顎の空間座標値を測定していたが、咀嚼運動時、下顎だけでなく、頭部(上顎部)をも動かして咬断、臼磨を行うため、本研究では、上顎を固定せず上顎および下顎の運動を同時記録し、解析した。これまで咀嚼時の頭部の動きに関する定性的、定量的な報告は認められない。そこで、本研究結果は、咀嚼時の上顎部(頭部)の動きについての標準的な情報を与えるとともに、今後矯正歯科治療が必要な著しい不正咬合者のデータとの比較を行うことにより、頭部の動きについての異常なパターンを解析することが可能となり、不定愁訴の原因を見つける上で有用であると考えられた。
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