1996 Fiscal Year Annual Research Report
無力性口唇の鑑別法と口唇の筋訓練の客観的評価について
Project/Area Number |
08672366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山口 和憲 広島大学, 歯学部, 助教授 (50112214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井藤 一江 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10034208)
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Keywords | 無力性口唇 / 口唇の開閉時の筋活動 / オトガイ筋 / 歯列咬合と顎顔面 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的として口唇の閉鎖・離開によって生じるオトガイ筋の筋活動の差によっての無力性口唇の客観的判定を行った。第二の目的として,口唇の筋活動と切歯の位置,および顎顔面骨格形態との関係を検討した。 被験者には,正被蓋者群に47名,逆被蓋群に骨格性下顎前突16名,開咬群に17名を選択した。逆被蓋群,開咬群いずれも外科矯正治療の適応症例である。 口輪筋,オトガイ筋,下唇下制筋,咬筋に表面電極を貼付し,口唇閉鎖時と離開時(15秒間)の筋活動を記録し積分値の平均を出し,口唇閉鎖時の平均活動量(EM1)から口唇離開時の平均活動量(EM2)を差し引き,オトガイ筋の筋活動の差(EM1-EM2)が正の値を示したものを無力性口唇群群(incompetent lips)とし,負の値を示したものをcompeteny lips群とした。 1.口唇閉鎖機能に関して,オトガイ筋の活動は下唇下制筋より敏感であり,口輪筋とは拮抗していたので本研究ではオトガイ筋の活動を用いて口唇の機能を鑑別することにした。 2.全被験者の66.7%がcompetent lips群に,33.3%がincompetnet lips群と判定された。また,正被蓋群では70.2%がincompetent lips群と判定され,逆被蓋群では56.3%,開咬群のすべてがincompetent lips群と判定された。 3.正被蓋群ではincompetent lips群の上下切歯の唇側傾斜と下顔面高が大きかった。逆被蓋群ではincompetent lips群の上下切歯が舌側位にあることがわかった。 上下切歯,および骨格の前後的不調和のほかに,顎骨の垂直的不調和が無力性口唇の原因となることが本研究で明かになった。しかし,顎骨の垂直的な不調和との関係は未だ説明されていない。また,歯列および骨格の不調和が改善されると無力性口唇が改善されるのかは不明である。当初の目的通り,クレンチング時の口唇の筋活動をさらに計測分析すると共に,被験者の治療後のデータ収集分析によってこれらを解明する予定である。
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Research Products
(1 results)