カテプシンLならびにその阻害剤による矯正的歯の稼動と歯根吸収の制御に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08672371
• Research Institution: THE UNIVERSITY OF TOKUSHIMA
• Principal Investigator: 大庭 知子 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10274242)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 三木 義樹 徳島大学, 歯学部, 助手 (50294707) ; 大庭 泰雄 徳島大学, 歯学部, 助手 (40294706) ; 岡田 欣也 徳島大学, 歯学部, 助手 (60274239) ; 谷村 一朗 徳島大学, 歯学部, 助手 (20253221) ; 山本 照子 岡山大学, 歯学部, 教授 (00127250)
• Keywords: カテプシンL / 破骨細胞 / 骨吸収 / カテプシンL阻害剤 / エポキシコハク酸誘導体

Research Abstract

本年度は、カテプシンL特異的阻害剤のスクリーニングを行った。新規に合成されたカテプシンLに特異性の高い阻害剤であるエポキシコハク酸誘導体を用いて検討し、また、これらの阻害剤の各濃度での、ラット肝カテプシンL、B、HおよびJ活性に対する阻害効果も検討した。次に新生ラット骨髄細胞による骨吸収実験では、ラット骨髄細胞をウシ骨片に播種し、副甲状腺ホルモンにより骨吸収を促進された条件下で種々のエポキシコハク酸誘導体を添加し、その結果生ずる骨吸収窩の面積を測定して骨吸収阻害作用を評価した。さらに最近、新規に合成された種々のエポキシコハク酸誘導体の中で、CLIK-88は、10^<-5>MでカテプシンL活性を完全に阻害するが、同濃度でカテプシンJ活性をやや阻害するも、カテプシンBおよびH活性に対する阻害は認めなかった。骨吸収窩形成実験の結果は、CLIK-88は10^<-5>Mで骨吸収を有意に抑制した。CLIK-90においては10^<-4>Mで骨吸収を有意に抑制した。
以上の結果、エポキシコハク酸誘導体の中でも特にカテプシンLの阻害効果の強い、すなわち、カテプシンL特異的阻害剤として、CLIK-88およびCLIK-90を見出すことに成功した。また、これらのカテプシンL阻害剤は骨吸収を強く抑制することを明らかにした。今後は、矯正的歯の移動時における歯槽骨の吸収に関わるカテプシンLの役割を明らかにするとともに、カテプシンLの特異的阻害剤を用いて歯根吸収の制御に関する研究を予定している。

Research Products

• [Publications] 大庭康雄、大庭知子、他: "液胞型H^+・ATPase阻害剤バフィロマイシンAl、およびカーボニックアンヒドラーゼ阻害剤アセタゾラミドの破骨細胞内のカテプシンLに対する影響" 第56回 日本矯正歯科学会大会 抄録集. 134 (1997)
• [Publications] 大庭知子、大庭康雄、他: "ラット軟骨におけるカテプシンLの免疫組織学的局在について" 第56回 日本矯正歯科学会大会 抄録集. 135 (1997)
• [Publications] N.katsunuma, et al: "Molecular mechanisms of bone collagen degradation in bone resorption" Journal of Bone and Mineral Metabolism. 15. 1-8 (1997)