1996 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕細菌の病原因子発現阻害剤によるう蝕予防法の開発
Project/Area Number |
08672375
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学部, 助教授 (20192403)
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Keywords | う蝕 / Streptococcus mutans / gtfB / 界面活性剤 |
Research Abstract |
本研究ではStreptococcusmutansの各種の病原因子遺伝子の発現におよぼす各種界面活性剤の影響を調べた。従来、グルコシルトランスフェラーゼの菌体外への分泌を促進すると考えられていたTween80についてgtfB,gtfC,gtfD,pacの各病原遺伝子の発現レベルに及ぼす影響をCATアッセイにより定量的に調べたところ、gtfB遺伝子の発現が最も効果的に誘導された。この誘導効果は、Tween80の濃度が0.1%まで濃度依存的に増加したが、それ以上の濃度では誘導効果に変化は認められなかった。また、Tween80の添加4時間後に誘導効果はピークに達した。そこで、Tween80,Tween40,Tween20,span80,Span20を含む17種の非イオン性界面活性剤についてgtfB遺伝子の発現レベルに及ぼす影響を調べたところ、Tween80,Tween40およびspan80はgtfB遺伝子の発現を誘導し、span20,poly(oxyethylene)(15)cetyletherおよびpoly(oxyethylene)(5)stearyletherは発現を抑制したが、他の10種の界面活性剤はgtfB遺伝子の発現レベルにはほとんど影響を与えなかった。 これらの結果から、非イオン性界面活性剤の様々な化学構造の差異がgtfB遺伝子の発現調節に影響を与えていることが強く示唆された。これらの、化学構造とgtfB遺伝子の発現レベルの関係を詳細に検討することにより、gtfB遺伝子の発現を効果的に抑制する化学製剤が開発出来るものと考えられる。
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[Publications] Yuichi Tsukioka et al.: "Biological function of the dTDP-rhamnose synthesis pathway in S.mutans" Journal of Bacteriology. 179・4. 1126-1134 (1997)
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[Publications] Yoshiko Murakami et al.: "Role of the charged tail in lecalization of a surface protein an tigen of S.mutans" Infection and Immunity. 65・4(in press). (1997)