1996 Fiscal Year Annual Research Report
食物咀嚼および食塊嚥下後の口腔内環境に及ぼす唾液の影響
Project/Area Number |
08672384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
渡部 茂 明海大学, 歯学部, 教授 (60113049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 昭 明海大学, 歯学部, 助手 (90275826)
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Keywords | 食物咀嚼 / 唾液 / 食塊水分量 / 粉砕率 |
Research Abstract |
各食物の食べ始めから嚥下時までの食塊水分量及びピ-ナツの食べ始めから嚥下時までの粉砕率の変化について検討を行なった。 健全歯列(上下後第二大臼歯まで有するもの)をもつ成人8人(男女各4人)を被験者とした。咀嚼試料は、含有水分量を考慮(日本食品成分表)し、クッキー、カステラ、ホットケーキ、ライス、粒コーン、リンゴの6種を選択した。粉砕率測定にはピ-ナツを用いた。予備実験として咀嚼試料の含有水分量の確認(真空凍結乾燥)、個々の被験者における各試料の一口量とその咀嚼時間(一口咀嚼時間)の測定を行なった。本実験は予備実験で測定した各被験者の一口量を一口量咀嚼時間だけ咀嚼させ、計量済みのトレーに吐き出させた。すぐに重量を測定し、凍結乾燥を行ない、嚥下時食塊水分量を計算した。各被験者の咀嚼時間の1/3、2/3、4/3の時間で同様の実験を行なった。粉砕率はピ-ナツ2gの10回、20回、40回咀嚼を行ない、吐き出したものを各々10mesh,20mesh,42meshの篩いに通過させ、篩い上に残った重量を計測した(Manleyより)。 その結果、1)一口量咀嚼時間及びその嚥下時食塊の水分量は、同一被験者、同一食物ではほとんど変化がみられず一定した値を示した。2)嚥下時の食塊水分量は食物により異なり、食物の水分量と相関がみられた。3)嚥下に至るまでの食塊水分量の変化は咀嚼開始時から時間の経過と共にほぼ一定の上昇を示した。4)ピ-ナツの粉砕率でも同一被験者の各篩いにおける通過率は一定した値を示した。5)各篩いの通過率から粉砕率をみると、10回から20回咀嚼までの粉砕率の変化の方が、20回から40回咀嚼までの変化より大きかった。以上のことから結論としてヒトが行う咀嚼は規則性がみられ、各人が感受する食塊の水分量と粉砕率がその規則性に関係していることが示唆された。
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