1996 Fiscal Year Annual Research Report
Brook転位を基盤とする[3+2]アニュレーションの反応機構に関する研究
Project/Area Number |
08672416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
武田 敬 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (30135032)
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Keywords | [3+2]アニュレーション / 五員環形成反応 / ビニルシクロプロパン転位 / Brook転位 / ヘテロ原子 / 反応機構 / Fischerカルベン錯体 |
Research Abstract |
われわれが開発した,β-ヘテロ原子置換アクリロイルシランを用いる新しい[3+2]アニュレーションの反応機構の解明を目的として,中間体と考えている(2-(2-(trimethylsilyl)ethenyl)cyclopropanolateの別経路による合成,およびアクリロイルシランのβ置換基のα-カルバニオン安定化能と生成物分布との関係に関する検討を行った.cyclopropanolateは,対応するdienol silyl etherとacetoxy Fischer carbene錯体との反応により合成したcyclopropyl acetateに対し2当量のMeLiを反応させることにより発生させることができ,その結果,[3+2]アニュレーションの場合と同様の生成物および生成物分布を与えることが判明した.さらに,β位にヘテロ原子を持つアクリロイルシランとエステルエノレートとの反応により生成する1,2-付加体の塩基触媒下におけるBrook転位の速度を比較することにより,従来明らかではなかったヘテロ原子のα-カルバニオンの安定化能を評価できることがわかった.この系を用いることにより,フェニルチオ基とトリメチルシリル基でそのα-カルバニオンの安定化能に大きな違いがあり,フェニルチオ基の方がはるかにαカルバニオンの安定化能が大きいということを明らかにすることができた. 以上の結果から,われわれが提出した[3+2]アニュレーションの反応機構は大筋で正しいことがわかった.その詳細については,来年度引き続き検討する予定である.
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