1996 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価ジルコニウム錯体を用いる不斉触媒反応の開発に関する研究
Project/Area Number |
08672447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
榛澤 雄二 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10096688)
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Keywords | Schwartz試薬 / ハイドロジルコネーション / ビニルエポキシド / ビニルシクロアルカン / ジアステレオ選択性 / ジルコノセン等価体 / Z-アリルジルコノセン / 環変換反応 |
Research Abstract |
ジルコノセン錯体を用いた新規触媒反応の開発の前段階として化学量論量のジルコノセン錯体を用いる新反応の開発を行った。 1)4価ジルコノセン錯体試薬としてSchwartz試薬(Cp_2ZrHCl)を用いエポキシオレフィン誘導体との反応を行うとオレフィン部位へのハイドロジルコネーションが優先し、続くS_N2型分子内求核反応により立体特異的に炭素環状化合物が得られることを明らかにした。特に、ビニルエポキシド誘導体では高収率でシクロプロピルカルビノール体を与えシクロプロッパン環上の置換基の立体化学は高立体選択的なハイドロジルコネーションに基づいていることを明らかにした。 2)ジルコノセン-(1-ブテン)錯体(ジルコノセン当価体、″Cp_2Zr)を用いた新規環変換反応の開発を行った。すなわち、α-位にビニル基を有しα′-位にハロメチルあるいはトシルオキシメチル基を有する酸素あるいは窒素ヘテロ環化合物と″Cp_2Zr″との反応は効率良く進行し、炭素環上化合物を立体選択的に与えることを見出した。本反応の反応機構は鎖状エポキシあるいはアジリジン中間体への分子内Z-アリルジルコノセン部位の求核環化反応により進行していることを明らかにし、反応の立体選択性は遷移状態モデルの考察から矛盾なく説明可能である。 上記、新反応の不斉触媒反応化を現在検討していると同時に申請者が既に報告しているアリルエーテルと″Cp_2Zr″との反応によるZ-アリルジルコノセンの生成、続くカルボニル化合物へのアリル化反応の不斉触媒反応化も検討中である。
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