1996 Fiscal Year Annual Research Report
多環性化合物のフラグメーション反応を利用する生理活性天然物の合成研究
Project/Area Number |
08672455
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長岡 博人 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30155915)
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Keywords | フラグメーション反応 / phomactin / 合成 / ビシクロ【2.2.2】オクタン誘導体 / 連続Michael反応 |
Research Abstract |
本研究は、著者らが開発した「多環性化合物のフラグメーション反応を機軸とする光学的活性ビシクロ化合物の構築法」を利用し、『海産ジテルペンphomactin類の合成ルート開発』することを目指し行われた。標的としたphomactin類は不完全菌Phoma sp.より見出された化合物で強い血小板凝集因子拮抗作用を示し、喘息、腎炎等各種病態の予防・治療薬として注目されている。また、ユニークな構造を有する点からも興味がもたれている。立案した合成計画の鍵ステップは、トリシクロ【9.3.1.O^<3,7>】ペンタデカン誘導体のフラグメーション反応によるphomactin類の骨格形成である。キラル素子としたビシクロ【2.2.2】オクタン誘導体は、3-メトキシカルボンと4-メトキシメチルキシクロトン酸エステルとの連続Michael反応により合成した。ここで行われた環化反応で、鍵中間体が持つ7個の不斉中心のうち5個が一挙に構築できた。6及び7個目の不斉中心は、得られたビシクロ【2.2.2】オクタン誘導体のBirch還元、オレフィンの異性化およびエポキシ化反応を含む方法で立体選択的に形成することに成功した。さらにC-7位の炭素鎖の伸長に際しては、ヨードエポキシドにシアンアニオン作用させ、置換反応と同時にオキシラン環を開裂させγ-ヒドロキシ-α,β-不飽和二トリルを形成する新しい手法を開発した。C-2位の炭素鎖伸長に向けて行ったメトキシメチル基の除去は困難であることが判明したが、この問題は、D-mannitolより誘導したα,β-不飽和エステルを連続Michael反応の原料として用いることにより解決できた。こうして得たアセトニドを有するビシクロ【2.2.2】オクタン誘導体に対し、本研究で開発した方法を適用し、phomactin合成の重要中間体となり得る化合物を合成することができた。現在、鍵中間体への変換とフラグメンテーション反応によるphomactinの骨格合成を検討している。
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