1996 Fiscal Year Annual Research Report
粘液のレオロジー的特性を用いた鼻粘膜吸収促進剤の評価
Project/Area Number |
08672488
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
米谷 芳枝 星薬科大学, 薬学部, 講師 (10231581)
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Keywords | 鼻粘膜 / レオロジー / 粘液 / 吸収促進剤 / レオメーター / 賦形剤 / 鼻汁 / 弾性率 |
Research Abstract |
鼻汁と気道粘液の粘性をレオメーターによって弾性的性状は動的弾性率として、粘性的性状は動的粘性率として定量化し、粘液のレオロジー的特性を明らかにするとともに、鼻粘膜の粘液へ作用して粘膜に作用しない安全性の高い吸収促進剤評価法開発の可能性について検討した。 粘液としては、鼻汁と気道粘液を用い、薬物としてはインスリン、吸収促進剤としては賦形剤のカーボポール、ヒドロキシプロピルセルロースやカルボキシメチルセルロースの粘着性高分子と、アビセルなどの不溶性高分子を用いて、レオロジー的性質は粘弾性測定器のレオメーター(レオテックス)を用いて測定をした。また、賦形剤の粘度を、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定した。 以上の処方を用いてレオメーターと粘度計で測定した結果より、粘液のレオロジー的特性値を、弾性的性状は動的弾性率(G')と粘性的性状は動的粘性率(η')として表すと、周波数の増加とともにG'が上昇し、η'が低下する関係を明らかにした。また、粘液に各吸収促進剤である賦形剤を添加した系では、G'よりもη'の値を低下させることが明らかになった。このことにより、各賦形剤が吸収促進剤として働く時の促進作用を鼻粘膜作用形と粘液作用形に分けることが可能であることが示唆された。鼻粘膜作用形の吸収促進剤は粘膜への副作用が高いことと良く対応しており、吸収促進剤の粘膜への影響を鼻汁粘液のレオロジー的特性値によって、定量的かつ客観的に評価することができることを明らかにした。
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