1996 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経β-受容体遮断薬プロプラノロールによる肝薬物代謝酵素活性変動の機構解明
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08672499
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
成松 鎮雄 千葉大学, 薬学部, 助教授 (20113037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝渕 泰宏 千葉大学, 薬学部, 助手 (10209455)
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Keywords | プロプラノロール / CYP1A酵素 / CYP2D酵素 / CYP2E酵素 / 薬物代謝酵素活性 / 芳香環水酸化活性 / 脱アルキル活性 |
Research Abstract |
交感神経β受容体遮断薬Propranolol(PL)をラットに連続投与し、肝ミクロゾーム(Ms)の薬物代謝酵素活性の変動を検討した。PL(100mg/kg,i.p)を1日1回5、10、15日間投与するとPL非投与対照群に比べてPL4、5、7位水酸化活性は低下するが、N-脱イソプロピル活性は上昇する。活性低下は15日間を通じてほぼ一定であったが、活性上昇は10日目がピークを示した。この間シトクロムP450、シトクロムb5あるいはfp2含量には変化がなかった。上昇したPL N-脱イソプロピル活性はCYP1A酵素阻害剤α-ナフトフラボンにより著しく低下し、CYP3A阻害剤トリアセチルオレアンドマイシン、及びCYP2E酵素阻害剤ジエチルジチオカルバメートで若干の低下が観察された。CYP1A2酵素活性の指標であるフェナセチン0-脱エチル活性もPL連続投与で上昇し、その推移はPL N-脱アルキル活性の様相とよく一致した。Western blot分析においてラット肝MsにおけるCYP1A2酵素タンパク含量がPL N-脱アルキル活性に対応して上昇していたが、CYP3Aあるいは-2E酵素量には変化がなかった。抗体添加実験では抗CYP1A及び-3A抗体によりPL N-脱アルキル活性が添加量依存的に低下した。さらに精製CYP1A1、-1A2、-2E1、あるいは-3A2酵素を用いた再構成実験において、CYP1A1と-1A2が高活性を示し、CYP2E1及び-3A2もある程度の活性を有することが示された。これらの結果よりPL連続投与によるPL N-脱アルキル活性上昇には、CYP1A2が主要な酵素として関与し、CYP3A酵素も一部寄与することが示唆された。一方、PL連続投与により芳香環4、5、及び7位水酸化活性低下の機構としては、放射性同位体標識PLあるいはその4位水酸化体(4-OH-PL)のミクロゾームタンパク結合実験から、PLのエポキシ代謝物、あるいは4-OH-PLがスーパーオキシドにより変換されて生成するキノン体(1,4-NQ)が、CYP2D酵素タンパクに共有結合して、酵素活性の低下を招く可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Narimatsu et al.: "Cytochrome P450 enzymes involved in the enhancement of propranolol N-desisopropylation after repeated administration of propranolol in rats." Chem.-Biol.Interact.101. 207-214 (1996)
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[Publications] S.Narimatsu et al.: "Covalent binding of a reactive metabolite derived from propranolol and its active metabolite 4-hydroxypropranolol to hepatic microsomal proteins of the rat." Chem.Res.Toxicol.10. 289-295 (1997)