1996 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ肝臓ジヒドロジオール脱水素酵素の構造と触媒機能の関連
Project/Area Number |
08672509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺田 知行 大阪大学, 薬学部, 助手 (50135737)
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Keywords | ジヒドロジオール脱水素酵素 / cDNA / ウシ肝臓 / アミノ酸置換 / 基質特異性 / 活性発現 / 点変異 |
Research Abstract |
申請者は、環境中に存在する多環式芳香族炭化水素の代謝中間体に作用し、発癌性物質の生成を阻害し得るジヒドロジオール脱水素酵素を、ウシ肝臓に3種類の酵素分子多形を見い出し、基質特異性あるいは阻害剤感受性などの違いから特異な酵素を見い出し、Cys^<193>の役割、酵素反応機構、酸化還元の触媒機能などをすでに明かにした。部分アミノ酸配列解析の結果をもとにオリゴヌクレオチドを合成し、PCR法によってDNAプローブを合成したところ、目的の酵素の予想塩基配列と類似した塩基配列を見し出した。このDNAプローブを用いてウシ肝臓cDNAライブラリー30万クローンのスクリーニングを行い、13個の陽性クローンを得た。塩基配列の結果、2個のcDNAクローンの推定アミノ酸配列が先の酵素の部分配列と完全に一致し、目的の酵素のcDNAクローンであることが明らかになった。得られたcDNAクローンを用いてタンパク質の発現を大腸菌で成功した。発現タンパク質をアフィニティーカラムを用いて、粗抽出液より簡便かつ高収率な精製法を確立した。この精製発現酵素が、基質特異性や阻害剤感受性などの観点から肝臓中の酵素と全く同一の諸性質を示すことを見い出した。このcDNAクローンを用いて、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとするメガプライマーPCR法により、アスパラギン酸、チロシン、リジンやヒスチジンをアスパラギンやメチオンニンに置換した各種変異体を作製するとともに、先の簡便な精製法にて均一な発現酵素標品を得た。各変異体の酵素活性、阻害剤感受性、基質との親和性、補酵素との結合定数あるいは至適pHなどを測定することにより、これらのアミノ酸残基が活性に必須であることを見い出すとともに、アスパラギン酸、リジンからチロシンへのプロトンの動き、いわゆるプロトンリレイの存在を明らかにした。
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