1997 Fiscal Year Annual Research Report
老化ならびにアルコール摂取に伴う脳内のストレス蛋白質の発現の変化
Project/Area Number |
08672524
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
海野 けい子 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10106437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 昌二 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40046256)
|
Keywords | ストレス蛋白質 / 加齢 / 脳 / Hsp70 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
ストレス蛋白質は分子シャペロンとして細胞内での蛋白質レベルの恒常性を維持し、細胞の機能変化に伴う疾病や老化の防御に関与している可能性が考えられる。そこで本研究は脳内のストレス蛋白質、特にHsp70の生体における役割を更に明らかにするため、加齢に伴う発現の変化について検討した。その結果以下の点が明らかとなった。 (1)5週齢から120週齢までのラット(Wistar系、雄性)において、脳内のHsp70発現量は加齢に伴い増加することが明らかとなった。一方、肝臓ではそのような加齢に伴う変化は観察されなかった。 (2)脳内の各部位(小脳、中脳、大脳皮質、海馬、線条体、視床、視床下部、延髄・橋)によりHsp70の発現レベルは多少違いがあることも見いだされた。 (3)食事制限を行った結果、同じ週齢(96週齢)の自由食群のラットに比べ、食事制限群のラット脳内ではHsp70の顕著な低下が認められたことから、脳内蛋白質の変化を引き起こすようなストレスが加齢に伴い増加し、食事制限はそのようなストレスをある程度抑制する効果があることが示唆された。 (4)長期アルコール摂取による脳内ストレス蛋白質発現への影響を検討した結果、120週齢の高齢ラットで脳内ストレス蛋白質の発現の増大が観察され、加齢に伴うストレス応答の変化が認められた。 以上、本研究により脳内Hsp70の発現レベルは加齢、食事制限、アルコール摂取等により変動することが明らかとなった。Hsp70の発現レベルの変化は、ストレスの程度を反映しているとともに、Hsp70自身の加齢による変化の可能性も考えられ、生体におけるストレス応答の制御が、脳の老化を抑制する重要な鍵となる可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 海野 けい子: "老化に伴うストレス蛋白質の発現の変化" 生化学. 69. 640 (1997)
-
[Publications] Keiko Unno et al.: "Altered Expression of Hsp70 by Aging in Brain" International Conference on Dynamics and Regulation of the Stress Response. (発表予定). (1997)
-
[Publications] 海野 けい子 他: "老化および食事制限に伴う脳内ストレス蛋白質の発現の変化" 日本薬学会第118年会講演要旨集. (発表予定). (1997)