1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
溝口 正 大阪大学, 薬学部, 教授 (00028838)
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Keywords | 酸化的ストレス / 培養細胞 / IEC-6細胞 / チオレドキシン / チオレドキシンレダクターゼ / 小腸 / ウシ / ビタミンE |
Research Abstract |
ウシ小腸のチオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼを通常の方法で精製し、チオレドキシンレダクターゼはさらにADP-セファロース並びにウシ小腸チオレドキシン・リガンドのアフィニテイクロマトグラフィにて単一にした。チオレドキシンレダクターゼはチオレドキシンと共に酸性タンパク質であり、補因子チオレドキシンがなくても芳香族ジスルフィドを還元した。精製したウシ小腸のグルタチオンS-トランスフェラーゼはH202存在下の酸化的ストレスにより容易に失活し、チオレドキシンレダクターゼ、チオレドキシン及びNADPH系の共存にてその失活が防御された。また、H202により失活したグルタチオンS-トランスフェラーゼはチオレドキシンを含む系とインキュベートするとその活性を復元した。一方、精製したウシ小腸のアルドースレダクターゼはH202存在下の酸化的ストレスにて活性化され、その活性化はチオレドキシンを添加することにより促進された。添加したチオレドキシンが減少したので恐らくアルドースレダクターゼとチオレドキシンの混合ジスルフィドの形成が推定された。ラット小腸細胞IEC-6を0.25mM H202とインキュベートすると細胞の生存率が減少するが、チオレドキシン活性は増加した。0.25mM H202とインキュベートした後、細胞IEC-6の総RNAのRT-PCRを行った結果、チオレドキシンの転写生成物が増大を観察した。また、ビタミンE存在下IEC-6細胞の培養を行い、チオレドキシン活性の増加と同時にH202存在下の酸化的ストレスの抑制を認めた。以上の成績により生体内でも酸化的ストレスに応答してチオレドキシンが誘導され酸化的ストレスの防御に機能すると推定した。今後、精製したチオレドキシン並びにチオレドキシンレダクターゼのアミノ酸配列を明らかにし、その情報をもとにチオレドキシン並びにチオレドキシンレダクターゼ遺伝子のクローニングを行い、両遺伝子の発現と酸化的ストレスとの関連性を検討したいと考えている。
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