1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入可能な膜融合性ポリエチレングリコール修飾リポソームの開発
Project/Area Number |
08672568
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Research Institution | TEIKYO UNlVERSITY |
Principal Investigator |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30130040)
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Keywords | DDS / リポソーム / 遺伝子治療 / ポリエチレングリコール / 膜融合 / トランスフェリン |
Research Abstract |
ポリグリシドールのコハク酸誘導体(PG)の酸性水溶液中でリポソーム同志が融合することに注目し、PGに直鎖のアルキル基を導入してリポソーム膜に組み込めば、低いpHで融合性を持ったリポソームが作成できると考え、研究を進めた。PGにn-decylamineを反応させ、リポソーム膜に組み込まれる誘導体を合成した(以下sucPGという)。前回までに、トランスフェリン(TF)を付与したPEG-リポソームによって標的組織や細胞にターゲティング可能であることを報告したが、sucPGリポソームにTFを結合させ、標的細胞への結合と細胞内への取り込みを調べた。sucPGリポソームは、卵黄PC:sucPG=4:1(w/w)で作成し、蛍光色素を内封した。TFのレセプターが豊富な癌細胞colon26細胞を用いた。sucPGリポソームは、酸性条件下で別のリポソームと融合することが確認された。Colon26との相互作用の結果は、TF-sucPGリポソームは、細胞に結合し、エンドサイトーシスで細胞内に取り込まれ、エンドゾーム内の低いpHでエンドゾーム膜と融合し、内封した蛍光物質を細胞質に放出したことを示した。これらの結果より、ターゲティング可能で、細胞内に取り込まれ細胞質内にまで内封物を送達可能なリポソームを開発することが出来た。TF-sucPGリポソームは、遺伝子治療においてウイルスベクターに代わる、非ウイルスベクターとしての応用が期待される。
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[Publications] Kazuo Maruyama PhD: "Immunoliposomes bearing polyethyleneglycol-coupled Fab'fragment show prolonged circu-lation time and high extravasation into targeted solid tumors in'vivo" FEBS Lett.413. 177-180 (1997)
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[Publications] Kazuo Maruyama PhD: "Long-circulating immunoliposome targeting in animal models" J.Liposome Res.7. 363-389 (1997)
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[Publications] Kazuo Maruyama PhD: "Targeting efficiency of PEG-immunoliposome-conjugated antibodies at PEG terminals" Adv.Drug Delivery Rev.24. 235-242 (1997)
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[Publications] 棚橋宏行: "トランスフェリン修飾PEG-リポソームの腫瘍細胞への結合性:細胞内ターゲティングを目指して" Progress in Drug Delivery system. 6. 23-32 (1997)
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[Publications] 片山国嗣: "PEG誘導体を用いたFusogenic proteo-Liposome に関する基礎的研究" Progress in Drug Delivery system. 7. 29-38 (1998)
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[Publications] 滝澤知子: "ペンダント型ポリエチレングリコール修飾イムノリポソームのターゲティング特性" Drug Delivery system. 13. 407-414 (1998)