1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 洋一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (20103492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野 啓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30257365)
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Keywords | 在宅療養 / 神経系慢性疾患患者 / Discharge planning / QOL / 患者評価 |
Research Abstract |
〈研究目的〉脳卒中後遺症患者のQOLを如何に良好に維持するかは長寿社会における新たな課題である。近年、これらの患者における在宅療養の意義が指摘され推進されているが、無理な在宅療養はかえって患者、介護者のQOLを低下させることになる。われわれは、無理な在宅療養や安易な施設介護など誤った選択をしないための客観的指標が必要と考え検討してきた。さらに脳卒中後遺症患者における在宅療養阻害因子の特徴について検討した。〈対象〉当科を退院した脳卒中後遺症46例と脳卒中以外の神経疾患33例で合計79例。退院後の在宅での療養状況についても情報収集し、3ケ月以上在宅療養が継続できた例を在宅可能例とした。〈方法〉既に報告した、臨床症状14項目、ADL7項目、社会的因子8項目、介護者因子6項目からなる在宅療養阻害因子の評価表を用いて各対象の阻害因子の評価をおこなった。評価結果を在宅療養可能群と不可能群に分け、脳卒中後遺症群と脳卒中以外の神経疾患群の間で比較し、統計学的検討を行った。〈結果〉臨床症状全体、ADL全体では脳卒中群とそれ以外の群の間で有意な差はみられなかったが、社会的因子においては在宅可能群、不可能群共に脳卒中群で、それ以外の神経疾患群とくらべ得点は有意に低値であった。そのうち、特に疾患の受容度、目的意識、介護者の疾患理解度、の項目で著しかった。これらは脳卒中が痴呆やうつ状態を伴いやすいことの他に急性発症であることによる可能性が推測される。脳卒中患者に対しては、発症後早期からのDischarge-planningの検討、指導が重要であり、それによりスムーズな在宅療養への移行が可能になり、かつQOLを良好に保った在宅患者を増やすことが可能になると思われる。さらに脳卒中以外の疾患における検討と各阻害因子についての詳細な検討を継続中である。
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