1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系Na^+-Ca^<2+>交換系の病態生理学的意義に関する研究
Project/Area Number |
08672606
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 助教授 (00107103)
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Keywords | Na^+-Ca^<2+>交換系 / アンチポーター / 細胞死 / 再灌流障害 / アストロサイト / カルシニューリン / FK506 |
Research Abstract |
本研究はグリア細胞Na^+-Ca^<2+>交換系の病態的意義を追求することを目的としており、平成9年度では、脳障害モデル動物でのNa^+-Ca^<2+>交換系mRNA量の変化と、インビトロ再灌流障害モデルであるCa^<2+>パラドックス障害の分子機構について検討した。ラット脳虚血再灌流後の脳各部位でのNa^+-Ca^<2+>交換系アイソフォーム(NCX1、NCX2、NCX3)mRNA量は、RT-PCR法での検討から大きな変化を示さなかった。また、ラット培養アストロサイトのCa^<2+>パラドックス障害がFK506やデルタメスリン等のカルシニューリン阻害薬により抑制されること、本細胞に神経細胞と異なるカルシニューリンのサブタイプが存在していることが免疫化学的に示された。そして、Ca^<2+>パラドックス障害がカタラーゼにより抑制されることCa^<2+>パラドックス障害発現前に過酸化水素が産生されることも示され、本障害発現に過酸化水素の関与が考えられた。さらに、神経細胞ではNCX1とNCX2がアストロサイトではNCX1が主なアイソフォームであることを競合的RT-PCR法で明らかにし、これらの細胞のNa^+-Ca^<2+>交換系活性がNa^+感受性、膜興奮性の作用の点で異なっていることを見いだした。これらの成果は、Na^+-Ca^<2+>交換系の調節機構、役割が神経細胞とアストロサイトで異なっていることを示唆する。なお、アンチセンス核酸法による本アイソフォームの選択的ターゲッティンング法は今回の研究では確立できなかった。
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[Publications] 松田 敏夫: "アストロサイトの活性化とグリア細胞死" 日薬理誌. 109. 157-163 (1997)
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[Publications] Toshio Matsuda: "Na^+-Ca^<2+> exchanger physiology and pharmacology." Jpn.J.Pharmacol.74. 1-20 (1997)
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[Publications] 松田 敏夫: "脳虚血への細胞応答の病態分子薬理.脳虚血へのNa^+-Ca^<2+>アンチポーター応答とグリア/ニューロン死." 日薬理誌. 111. 13-19 (1998)
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[Publications] Toshio Matsuda: "Involvement of calcineurin in Ca^<2+> paradox-like injury of cultured rat astrocytes." J.Neurochem.(印刷中). (1998)