1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態解析における最小相対エントロピー法の有用性の検証
Project/Area Number |
08672609
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
網崎 孝志 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (20231996)
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Keywords | 薬物動態 / パラメータ推定 / 相対エントロピー / 最小二乗法 |
Research Abstract |
最小相対エントロピー法(minimum relative entropy method ; MRE)は,1995年に網崎と江口により薬物動態への利用が提唱されたパラメータ推定法である。MREの薬物動態解析での有用性は,既にある程度は報告されており,当初,本研究の主目的は,薬物動態のどのような場面でMREが有効なのかを検討することであった。しかし,本研究が進展するにつれ,従来より知られているある推定法にMREが一致することが判明した。その手法とは,分散関数に薬物動態関数の値を用いるような反復重み付け最小二乗法(IRLS)である。このことは逆に、そのIRLSの使用の正当性を与えることになる。このIRLSは重みは、Poisson分布に対応するものであり、計数(自然数)データにおいてのみ正当化されるものである。このように理論的根拠が希薄であったためか、薬物動態解析においてはこのIRLSの使用頻度は高くなかったように思われる。本研究により,その手法に「相対エントロピーを最小化する」という理論的裏付けが与えられたことになる。なお,このIRLSとMREは,数学的には同一であるが,数値的実現方法が異なる。この点においてはMREの方が有利である。 またこれが契機となって,本研究では,薬物動態解析に用いられているパラメータ推定法,あるいはあまり用いられていないパラメータ推定法を整理し直し,従来知られていなかった推定法間の関係を理論的に明らかにした。そこには,偽尤度を用いる一般化最小二乗法や拡張疑似尤度法なども含まれる。さらに,より詳細な数値実験をおこなった結果,評価したすべての推定法のうちで,多くの現実的な状況において,MREの性能が極めて高いことが確認された。
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