1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳内NO/プロスタグランジン生合成系の中枢性交感神経系賦活機構における役割
Project/Area Number |
08672614
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
横谷 邦彦 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30174858)
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Keywords | 交感神経 / 副腎髄質 / ノルアドレナリン / アドレナリン / 一酸化窒 / インドメタシン / プロスタグランジン / トロンボキサンA2 |
Research Abstract |
昨年度私たちは、血液カテコールアミン値を指標に、サイトカインの一つであるインターロイキン1βの脳室内投与が中枢性に交感神経系を賦活すること、この過程で脳内一酸化窒素(NO)-プロスタグランジン(PG)系が関与することを報告した。そこで今年度はラット脳室内に種々のNO供与体を投与し、胃酸分泌および血液カテコールアミン値を指標に、中枢性交感神経賦活機構におけるNO系の役割を解析した。迷走神経性胃酸分泌は交感神経系の賦活によりアドレナリンα受容体を介して抑制される(J.Pharmacol.Exp.Ther.,1983)。 [研究方法] ウレタン麻酔したラットを用いて、脳室内に投与したNO供与体[Sodiumnitroprusside(SNP),3-Morpholinosydnonimine(SIN-1)]の迷走神経性胃酸分泌および血漿カテコールアミン値に及ぼす影響を検討した。 [実験成績](1)脳室内に投与したSNPおよびSIN-1は迷走神経の電気刺激により増加した胃酸分泌を抑制した。この抑制作用はシクロオキシゲナーゼ阻害薬インドメタシンの脳室内前処置、内臓神経切除術、およびアドレナリンα受容体遮断薬フェントラミンの筋肉内投与により消失した。(2)脳室内に投与したSIN-1は血漿アドレナリン(Ad)およびノルアドレナリン(NA)値を上昇させた(Ad増加>>NA増加)。このAdおよびNA値増加作用は脳室内に前処置したインドメタシンにより消失した。一方、脳室内に前処置したトロンボキサンA2合成酵素阻害薬フレグレレイトはAd増加を選択的に阻害した。 [結論]脳内においてNOはアラキドン酸カスケードを活性化して中枢性交感神経-副腎髄質系賦活機構に関与する。脳内PGE2が交感神経系を選択的に活性化することはすでに報告しているが、脳内トロンボキサンA2が副腎髄質系を選択的に活性化することが推測された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yokotani K: "Centrally applied nitric oxide donors inhibit vagally evoked rat gastric acid secretion:involvement of sympathetic outflow" Japanese Journal of Pharmacology. 74(4). 337-340 (1997)
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[Publications] Murakami Y: "Thromboxane A2 is involved in the nitric oxide-induced central activationof adrenomedullary outflow in rats" Neuroscience. (in press). (1998)