1996 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚血管の特性と褥瘡発症機構の解明およびその看護方法の確立
Project/Area Number |
08672620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
岩月 和彦 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20004666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 茂俊 信州大学, 医学部, 教授 (30004659)
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Keywords | 褥瘡 / コラーゲン代謝 / プロリルハイドロキシラーゼ / 血圧 / 血管壁 |
Research Abstract |
褥瘡発症の原因の一つとして末梢血流循環障害が考えられている。そこで正常および血行障害のある末梢血管の特性を解明するために血管壁構成成分蛋白であるコラーゲン代謝回転を検討した。1、コラーゲン生合成の律速段階酵素であるプロリルハイドロキシラーゼ(PH)活性測定の準備:ニワトリエンブリオを用いて4-ハイドロキシプロリン-3-^3Hサブストレートを作成し活性のあることを確認した。2、PH活性の測定:12週令のWKYとSHRラットの血管壁中のPH活性を測定した。WKY(動脈圧;120±3.4mmHg)の大動脈と腸間膜動脈におけるPH活性は、8,730±320と13,9502±580 (CPM/mg蛋白)であったのが、SHR(動脈圧;208±3.3mmHg)では17,850±270と18,840±330 (CPM/mg蛋白)と有意に増加していた。一方、WKY(静脈圧;-23±5.7mmH_2O)の大静脈と腸間膜静脈におけるPH活性は、5,080±580と10,900 (CPM/mg蛋白)であったが、SHR(静脈圧;-13±3.0mmH_2O)では6,490±350と12,270 (CPM/mg蛋白)であった。以上の結果より、高血圧動物での血管壁におけるコラーゲン生合成活性の変化が、同じ血管壁とはいえ動脈と静脈では異なり、圧の高まっている動脈のみで上昇していることが明らかになった。もしも、コラーゲン生合成に変化を及ぼす機構が血流中のなんらかの物質によるのならこのような違いが起こらないはずで、圧という物理的要因がコラーゲン生合成亢進の引き金の役割をしていることを示唆している。
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