1997 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚血管の特性と褥瘡発症機構の解明およびその看護方法の確立
Project/Area Number |
08672620
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
岩月 和彦 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20004666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 茂俊 信州大学, 医学部, 教授 (30004659)
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Keywords | 皮膚血管 / 褥瘡 / プロリルハイドロキシラーゼ活性 / 総コラーゲン含量 / コラーゲン生合成 / 血圧 |
Research Abstract |
本研究では、褥瘡発症の解明とその予防方法の開発のために、正常および血行障害のある末梢血管の特性を自然発生高血圧ラット(SHR)とその対照群(WKY)を用いて血管壁構成成分蛋白であるコラーゲン代謝回転を指標として比較検討した。1)血圧:30週令の雄ラットのWKYとSHRの動脈圧は、SHRが208±3.3mmHgで対照群のWKYの血圧に比べて有意に上昇していた。一方静脈圧は、SHRが-18±3.0mmH2Oで対照群のWKYの血圧と変わりがなかった。2)プロリルハイドロキシラーゼ活性:WKYの大動脈と腸間膜動脈におけるプロリルハイドロキシラーゼ活性は、(E.C.1.14.11.2;proline,2-oxoglutarate dioxygenase)活性は、8,730±320と13,950±580(CPM/mg蛋白量)であったのが、SHRでは17,850±270と18,840±330(CPM/mg蛋白量)とそれぞれ104%、35%有意に増加していた。一方、WKYの大静脈と腸間膜静脈におけるプロリルハイドロキシラーゼ活性、5,080±580と10,900(CPM/mg蛋白量)であったが、SHRでは6,490±350と12,270(CPM/mg蛋白量)であり対照群と変わりがなかった。3)総コラーゲン含量:WKYの大動脈と腸間膜動脈における総コラーゲン量は、87.9±1.0と86.1±3.3(mg/g組織量)であったのが、SHRでは101.0±5.9と111.0±5.8(mg/g組織量)とそれぞれ15%、29%有意に増加していた。一方、WKYの大静脈と腸間膜静脈における総コラーゲン含量は、72.3±2.3と71.5(mg/g組織量)であったが、SHRでは77.0±1.7と83.8(mg/g組織量)であり対照群と変わりがなかった。以上の結果より、血管壁におけるコラーゲン代謝回転の変化が、同じ血管壁とはいえ動脈と静脈では異なり、しかも圧の高まっている動脈のみで上昇していることが明らかになった。
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