1997 Fiscal Year Annual Research Report
バイオリアクターを中核とする化学発光FIA法による糖尿病関連微量物質の高感度分析
Project/Area Number |
08672642
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田畑 勝好 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70115880)
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Keywords | 1,5-AG / 化学発光法 / 固定化酵素 / ピラノースオキシダーゼ / グルコキナーゼ / 同時固定化酵素カラム / バイオリアクター / FIA |
Research Abstract |
平成9年度はバイオリアクターを用いた化学発光FIA法による血清1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)の迅速高感度分析法の開発に関する研究を行った。 血清1,5-AGは固定化ピラノースオキシダーゼ(PROD)カラム(2×20mm)内で酸化分解され、生成された過酸化水素をルミノール化学発光法で測定することにより、1,5-AG濃度を求めることができる。PRODは1,5-AGのみでなくグルコースも酸化分解して過酸化水素を生成する。PRODの1,5-AGに対する反応速度はグルコースに対する反応速度よりも非常に遅いが、2×20mmの大きさのPRODカラムを使用すると、非常に多くのPRODを含むため、1,5-AGの分解率はグルコースの分解率の約70%まで大きく上昇した。 血清1,5-AGがPRODカラムに導入される前に、血清中のグルコースをいろいろなバイオリアクターを用いて除去する方法を試みた。同時固定化グルコキナーゼ(GK)/ピルビン酸キナーゼ(PK)カラム(3×24mm)を用いると、GKはグルコースのみでなく、1,5-AGをも、その反応速度はグルコースのそれに比べると非常に遅いが、リン酸化することが判明した。溶液状GKでは、GK量を多くすると1,5-AGのリン酸化が起こるが、少量のGKを用いて反応時間を長くすると、グルコースを除去し、しかも1,5-AGのリン酸化が起こりにくいことが判明した。1,5-AGのリン酸化をできるだけ無くし、しかもグルコースの除去率を低下させないバイオリアクターはGK 1000U(1.7mg pro.)、PK 0.28ml(2.8mg pro.)を固定化して作製された同時固定化GK/PKカラムであった。試料1μlが注入されると、このカラムは試料中のグルコースの99.99%を除去することができ、1,5-AGも大きい発光ピークを示した。このカラムによる血清1,5-AGの結果も良好であった。
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[Publications] 田畑勝好: "バイオリアクターと化学発光法を装着したFIAによる血清1,5-AGの高感度分析" 臨床化学. 26(Supp.3). 77 (1997)
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[Publications] 田畑勝好: "バイオリアクターと化学発光法を組込んだFIAによる血清グルコースの高感度分析" 日本臨床検査自動化学会会誌. 22(4). 413 (1997)
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[Publications] 田畑勝好: "検査試薬としての酵素の使い方" 化学と生物. 36(1). 51-56 (1997)
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[Publications] 田畑勝好: "老人病(老化)と臨床検査" 臨床病理. 45(3). 251-253 (1997)
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[Publications] 田畑勝好: "天然高分子の新展開(分担執筆:診断用材料)" シ-エムシ-, (1998)